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長編

1話:おいで?

匿名 2022年5月14日
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こんばんは。 式部丞と申します。 今日は私の友人が実際に体験したお話をしようかと思います。 誤字脱字や文章に変な箇所がございましたら、コメント欄にてお知らせください。 それでは。 ______________________ これから話すのはねぇ、あたしが実際に体験した出来事なんだ。 本当だよ。 話す度に嘘だ法螺だって言われるんだけどさ… でも、本当に起こった事なの。 ママが迎えに来るまで話してていい? ありがと! じゃ、話すね… …うーん。 あたしんち、パパとママが離婚して、ママが1人であたしを育ててるんだ。 だから、どう頑張ってもあたしは家で1人で留守番してなきゃいけなくなるのね。 でもママは、『1人で留守番なんかしてて、不審者でも入って来たら大変!』って、近所に住んでる伯母さんとこに預けたの。 伯母さんは所謂社長夫人ってやつで、金銭的にも時間的にも余裕があるのよ。 んで、『そんなに大変ならA(話してくれた友人の名前)を預かろうか?』って、自分から進んであたしを預かってくれたのね。 あたしは学校が終わると伯母さんの家に行って、宿題やっておやつ食べてお夕飯食べて、ママが迎えに来てくれたら帰る…みたいな生活してたの。 最初はママから離れて淋しかったけど、でも伯母さんちってお金持ちだから次第にあたしも馴染んでったのよ。 伯母さん達もあたしの事、本当の子供みたいに可愛がってくれてたし。 伯母さんの所、子供がいなかったから、さ。 今伯母さんち行ってんの?…って…今は行ってないよ。 それに伯母さんにも遭ってない。 何でかって? …伯母さん、子供が出来ない身体だったんだ。 不妊治療とか色々やって頑張って… だから、うちのママが羨ましかったんだと思う。 そうでなきゃ、あんな事しないよ。 伯母さんちに寄るようになって、暫く経ったある日。 ママが何か疲れた…ってか、窶れた様子で椅子に座ってた。 それ自体はいつもの事なんだけど、何か…いつもと様子が違ったの。 何かに怯えてる…みたいな。 その頃からかな、ママは何とか頑張ってあたしとの時間を作ってくれるようになった。 あの時はあたし、まだ小さかったから『ママと一緒にいられる』ってすごく嬉しかった。 そりゃそうだよ。いくら伯母さんちが快適だからって、やっぱり1番好きなのは自分の親で、自分の家だもの。 でもね… ママと一緒にいられるようになってから、あたし変な夢を見るようになったんだ。 怖い化け物が追っかけて来て、捕まりそうになる夢。 不思議なことにね、伯母さんちに泊まる時にはこの夢見なかったの。 ママに相談してみたら、すごく驚かれた。 ママもここのとこずっと、同じ夢見てたから。 次の休みの日に霊媒師さんの所に連れてかれた。 ママはいつにない真剣な表情で霊媒師さんの話を聞いて、それで吃驚してた。 ママに、『何を話してたのか』って聞いても、何も答えてくれなかった。 ただ、あたしの顔を見て少し悲しそうにするだけだった。 霊媒師さんの所に行ってから、……うーん、多分3日くらい経った夜。 あたしは喉が渇いて仕方なかったから、洗面所で水汲んで飲もうとした。 そこであたしは凍りついたよ。 だって、あたしの後ろには 伯母さんがいたんだから。 「何で?どうして?」 って、ちょっとパニクって質問攻めにしたんだけど、伯母さんは何も答えずにずっと「おいで」って言ってた。 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで…」 あたしは怖くなって、伯母さんに水をぶっかけた後、部屋に鍵をかけてベッドに潜り込んだ。 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 「おいで」 伯母さんは、あたしの部屋のドアをノックし続けて、その間ずっと「おいで」って言ってたんだ。 声の調子が、どう聞いても普通じゃなかった。 あたしは震えて耳を押さえながら、布団の中で蹲ってた。 その内、朝になってたみたい。 ママに夜の事を言ったら、『流石にないでしょ、合鍵渡してないし』って言ってたんだけど、その後どこかに電話してた。 多分伯母さんちだったと思う。 ……これで終わりか、って? 違う違う。 まだ続きがあるの。 あれから随分経ってからさ、ママに 『そう言えば、どうして伯母さんと会わせてくれなくなったの?』 って聞いてみたんだ。 そしたらねママ、何て言ってたと思う? 『仕方がないじゃない。だってあの人、私を殺してあんたを自分の子供にしようとしてたのよ』 だって。 これは多分憶測だけど、伯母さんはあたしとママを呪ってたんじゃないかな。 ママが悪夢を見て眠れなくなれば注意力散漫になる。 それで事故なり何なりで死んでくれれば良い。 でも、ママはそんな事にならなかった。 だから我が家に不法侵入して、あたしを攫おうとしてたんだと思う。 ごめんね、あたし語彙力ゴミだからあんまし伝わんなかったかも。 …伝わってる? なら、良かった。 あ、ママが迎えに来た。 じゃあね、また明日!

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