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長編

匿名 2024年12月14日
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よくある話のように幼い頃から霊感があるわけでもなく、幽霊など出会ったこともなかった。 そんな俺は人生で今後忘れることはないであろう恐ろしい体験をしたことがあるので、時間があれば読んで欲しい。 小中とド田舎で育った俺。高校は県内だけど家からめっちゃ遠いところに進学した。  うちの高校は県外からの進学者が多いらしく寮があった。俺は両親の反対を押し切って寮生活をすることになった。 基本的にうちの高校の寮は一部屋に2人で生活するスタイル。(相部屋ってやつ?) 俺と一緒に生活する人は県外から進学してきたAって人。Aは成績優秀で先生からめちゃくちゃ好かれてる。 同じ中学から進学してきた人が少なく、その上知らない人だらけで肩身の狭い思いをしている俺にAは「よろしくな!」と人懐っこそうな笑顔で挨拶をしてくれた。 Aは勉強でわかんないとこがあったら先生よりわかりやすく教えてくれるし、授業でペア作れーって言われたときは真っ先にAが俺のところに駆け寄ってくれる。 Aがいるお陰で高校デビューはそれなりに上手くいったんじゃないか、と思った。 そんなAの行動はたまにあれ?って思う時がある。 高校デビューして3、4ヶ月経ったくらいかな。 趣味が同じで仲良くなったクラスメート(以下B)と食堂で一緒に昼食を食べ終わり、教室に戻った時だった。 A「なんで俺と一緒にご飯、食べてくんなかったの?」 普段温厚なAが急にそんなことを言い出すから、俺は冗談だと思って、 俺「やめろよwそんな重い彼女みたいなことすんなってww」 と笑いながら受け流した。でも、Aは明らかに不愉快そうな表情をしていて、流石の俺でもやべっ怒らせた、って思った。 その夜、部活が終わったA(ちなみに俺は部活に入ってない)が部屋に戻ってきた時、俺は手を合わせて 俺「さっき怒らせたことしたならマジでごめん」 と謝った。 Aはきょとんとした顔で A「急にどした?w俺、別に怒ってないよw」 と笑っていた。 よかった、怒ってない、とホッとしたと同時に俺はなんだかモヤモヤした気持ちを抱えていた。 他にもAは俺がBや別の友達と仲良くしていると明らかに不愉快そうな表情をするし、 部屋に戻ったら「俺たち友達だろ?なんで他の奴らと仲良くすんの?」 とメンヘラ発言をたくさんしてくる。 その上、Aは俺の周りの友達に俺のデマを吹き込んだらしく、数人友達を失うことになった。 高校デビューして半年くらい経った頃に俺はようやく、こいつが独占欲強すぎる人なんだ、とわかった。 だからある日、俺はAにはっきり言った。   俺「Aの冗談なのか本気なのかわかんない重い発言とか行動、俺は嫌だ。だからもうやめて欲しい。俺にも俺の人間関係があるから、俺の友達はAだけじゃない。それが出来ないなら今後、俺はAと関わることは無理かもしれない」 A「………そうだよな………ごめん、〇〇。俺、お前と仲良くなりたかっただけなんだけど………でも、やり方間違えてたな」 Aは反省したように(少なくとも俺にはそう見えた)謝った。 それからAは目立ったメンヘラ行動や発言は起こさなくなり、俺もホッとしていた。 だが、俺は新たな悩みの種ができてしまった。 心霊現象が周りで起きているのだ。多分、誰も信じないだろう。俺だって不思議に思ってる。 今まで全く霊感がなかったし、幽霊なんてもの見たことがなかった。それに、うちの家系で霊感がある人なんていない。(母曰く) 心霊現象と言ってもなんだろう………祟りみたいなやつ? 夜中、金縛りに遭って黒い人影(人間じゃない何か)が首を絞めてきたり、 授業中とか何か首元を触られたり(誰も触っていないのに)。 最初はもちろん、気の所為だと思った。 だって俺、霊感ないし。 でも朝、鏡を見たら首元を縄で絞めたような跡を見つけちゃった。 気の所為にするには無理があるように思えて、俺は同じ部屋のAに相談した。 A「なんか、お前うなされてるしな………。具合でも悪いんじゃね?というか、やばいぞ」 流石のAでも俺の首元のあざ?というか、跡を見て心配をしてくれた。 俺「どっか行ったほうがいいと思う?」 A「病院とか?神社も良いけどお金、ぼったくりそうだし………とりあえず、今は様子見たら?」 俺「確かに………病院とか神社行ってなんもなかったら嫌だしな」 A「なんかあったらその………相談しろよ?いや………俺、お前から見たらイカれてるヤツかもだけどさ」 数ヶ月前のAの重い行動を注意してからあまりAと話していなかったので、久しぶりに不器用だけど優しいAに感謝をした。 それでも変な現象は収まることなく、なんならひどくなっていた。 首元のあざはどんどん腫れて、夜は眠れなくなるし、授業中は首元を針で刺されるような痛みに襲われるし、 そんな俺を心配したのかBは俺に B「お前、呪われてるかもよ」 と声を掛けてきた。 俺「呪い?!」 呪い、という言葉は知っている。 それでも自分が呪われてるかも、なんて考えたことは今までないし、呪われるようなことをした覚えが全くない。 B「なんか恨みでも買った?」 俺「そもそも俺に恨みを買う相手がいるかどうかだよ」 B「確かに………俺たち、友達いないもんな」 悲しい言葉を掛けてくるBの言う通り、俺はクラスメートと少し面識があるくらいでまともに話せるのはAとBだけだ。 ということをBに伝えるとBの顔色が変わった。 B「おい待て待て………今なんつった?」 俺「え、何?まともに話せるのはAとBだけだって………」 B「あぁ………まさか、Aじゃね?」 俺「は?どういうこと?」 B「俺、Aと同じ中学なんだけどさ………あいつ、昔からやばいんだよ」 B曰く、Aは気に入った友達を自分だけのものにしたいらしい。 Bもその被害者らしく、俺以上の被害を受けていた。中学入学時はAと仲良かったが、下校時はAと一緒に帰らなきゃ次の日、Aに問い詰められる。そんなのは軽いもので、朝、玄関を開ければあいつが笑顔で突っ立って待ってるし、それを無視すればラインとかで悪夢のようなメールを何百件と送られてくる。(「俺達は友達じゃないの?」とか「Bはこころがないの?」などを永遠と) 教師などの大人たちに相談しても「あのAが?」「Aがそんなことをするわけがない」 と信じてもらえず、 「勘違いだろう」 と言われたそうだ。 Bは心を病んでしまい、学校に行くことが辛くなったのだとか。 だから誰も進学しないであろう、うちの高校に入学したのだが、そこにはAがいた。 B「あいつ、きっと新しいお気に入りを見つけたんだよ」 俺「いやいやまさか………俺なわけ………だって、俺、あいつに注意したんだよ?重い行動をこれ以上したら、Aとは付き合えないって」 B「Aは何するか分かんないんだよ!」 Bは泣きそうになりながら必死に訴えかけてきた。 B「今は大人しくしてるからいいけど、もしかしたら俺以上に〇〇が酷いことをされるかもしれないんだよ?俺、それを黙って見てるわけにもいかないんだよ」 俺「わかったわかった、Aが俺に呪いをかけたとして……なんでAは俺に呪いをかけるんだよ?」 現実的なことを冷静に伝えるとBは首を振った。 B「もしかしたら………Aは〇〇が呪いに苦しんでいるときに自分“だけ”が〇〇を助けたいのかもしれない」  俺「なんでだよ、別にAと俺にはメリットないだろ?」 B「わかってないなぁ、人って自分が苦しい時に助けてもらったら助けた人に自然と依存しちゃうんだよ。Aはそれを利用してわざと〇〇を苦しめてるって可能性があるよ」   その言葉が妙に納得できてしまった。 なぜだかわからないけど。Bの訴えるような表情とか、話し方とか全部俺の心にスッと入っていくようだった。 B「とにかく、休みの間にも早く神社とかでお祓いに行きな!」 俺「お、おう………」 Bの言葉に押されその週の週末に俺はBがお勧めする神社に行った。 神主さんは厳しそうなおじいちゃんで、俺を見るなり顔を顰めた。 俺「その………お祓い、してもらいたくて………」 神主「あなたすごいもの持ってきましたね………」 俺「は?」 唐突に言われた言葉に俺はびっくりした。 神主「あなたに憑いてる祟り、相当呪いの力が強い。あなたを今すぐ消したいって思いがあるのでしょう」 俺「でも俺………」 神主「その首の跡、放っておけばあなたの首は呪いでちょん切られるところでしたよ」 俺「なんでそんなこと………」 俺はびびってちびりそうになった。 だって、呪いをかけたヤツは俺を殺そうとしていることだろ?それもまさか同部屋のやつ。 神主「今は簡単なお祓いと御守りを施すからまた何かあったら来なさい」 神主さんは俺の話を殆んど聞かずにお祓いを始めた。 神主さんのお祓いと御守りのお陰か、今までより少し体が楽になった気がする。 Bもホッとしたようだった。 俺も安心した。 多分………安心して油断してしまった。 神主さんのところを訪れて1週間くらいたった頃だろうか。その日はAは部活で部屋に戻ってくるのが遅かった。 だから俺は好奇心で、Aの机の引き出しを開けちゃったんだ。 Aの机には左右に引き出しがあって、 右の引き出しは文房具とか、諸々学生が持つようなやつ。 つまんねーな、と思いながら左の引き出しを開けた。 半紙1枚と首と胴体が真っ二つに分かれた藁人形が丁寧に置かれていた。いや、それだけならいい。(よくないと思うけど) 半紙には真っ赤な筆で真ん中に俺の名前、そして周りには「呪」の字がびっしり埋まっていた。  クラスの集合写真から切り抜いたであろう俺の顔写真を藁人形のクビに画鋲で刺していたのだ。 異常な机の中を見た途端今までにないくらい俺の首が痛くなった。 ノコギリでギリギリと首を切断されている感じ。 あまりの痛さに首に手をやると出血していた。 やばい、死ぬ。 直感的に思った俺は何故か半紙と首と胴体が真っ二つの藁人形を持って泣きながら神主さんの元へ行った。 俺「助けて!」 首が血塗れの俺に神主さんは目を見開いて 神主「その人形と半紙をよこしなさい!」 と俺から藁人形と半紙を無理やり受け取った。 そして巫女さん達に俺を任せて神主さんはどっか行った。 痛さなのか、それとも恐怖でなのかわからない。 それでも巫女さんを見た瞬間、意識が遠のいていくようだった。 遠くで黒い影が蠢いている。 そいつはどんどん俺の近くに来てやがて俺の目の前まで来た。 恐ろしくて、異形な姿のそいつに俺は泣きながら目を離せなかった。 「許さないコロしてやる邪魔するな許さないコロしてやる邪魔するな許さないコロしてやる邪魔するな」 何かを俺の耳元で囁き、苦しくなって俺は発狂した。 次の瞬間、俺はハッと目覚めた。 隣で神主さんが俺の目覚めを待っていたようだった。 神主「目覚めたのですね」 俺「その………俺………」 神主「何か聞きたいことでも?」 正直、聞きたいことだらけだ。 それでも疲れているのか喋ること自体気が乗らなかった。 そんな俺の状態を察したのか神主さんは優しく笑った。 神主「今からあなたに私が知っている全てを教えます。ただ、その中にも不可解なものがあります。それは私でも計り知れない。」 意識がぼうっとしていたせいで何を言っていたかは本当に定かじゃない。 だから、本当に言っていたかどうかは曖昧になっちゃうけど、俺なりに簡単に解釈したから読んで欲しい。 まず、俺にかけられた呪いは徹底的に苦しみを与え、最終的には命を奪うようなやつ。だから復讐とかそーゆーのに使う人がいる。 で、その呪いをかけるのは難しくて、基本的に神主さんなどの力をかりる必要があるらしい。でも、今回は、素人一人でその呪をかけた確率が高い。仮に神主さんなどが力を貸していた場合、俺は3日位で死んでいたそう。 呪いをかける方法は神主さんは教えてくれなかった。多分わからなかったのかもしれない。でも、絶対に殺してやる、という強い信念を持っていたら素人でも凶悪な呪をかけられるらしい。 とりあえず、俺はとにかく怖かった。 まさかあのAが俺に呪をかけていたなんて………知りたくなかった。 独占欲強いけど、なんやかんや良いやつだったから。 それにあのBの表情も忘れられなかった。 俺「俺、生きてますか………?」 唐突に質問したくなった。 なんでこんなことを質問したのかわからない。多分もっと良いことを質問したほうが良かったのかもしれない。 神主「生きてますよ、ちゃんとこの場で私と話しています」   神主さんのその言葉が何よりも安心した。 部屋に戻り、俺は冷静になって考えた。 どうしてAは俺を殺そうとしたのか。 俺がAのことを拒否ったから? ならばBの予想は外れていたのか、 ふと何気なくスマホを見るとBから数時間前に連絡があった。 「〇〇へ まず、謝らせて欲しい。俺のせいで〇〇が苦しんだ。本当にごめん。 この前も言ったけど、Aは俺に対して異様につきまとっていた。高校に入って〇〇に独占欲を発揮しているAを見て正直、心のどこかで安心していた。友達なのにごめん。 でも、Aはきっと、最初から〇〇に独占欲を出していなかった。俺、わかったんだ。ついさっき、俺の部屋にAが来てあいつは全部話してきた。 Aはずっと俺だけを見ていた。 〇〇は俺と仲が良かっただろ?Aはそれが気に食わなかった。 Aは〇〇に独占欲を出すふりをして、俺と〇〇を仲良くさせないようにした。それでも仲が良い俺たちをみて、今度は〇〇を殺そうとした。 殺した証拠がない、呪いで。 Aはずっとこの先俺に執拗につきまとってくる。せっかくの自分の友達を作ってもAに邪魔をされる。俺は永遠とAという呪いにつきまとわれる。だから俺は俺なりに呪縛を解かなきゃならない。 ごめん。本当に、」 俺は高校を辞めようか悩んだが、転入しても友達はできないだろう、と思い寮生活をやめることにした。 疲れ切った俺の表情を見て両親は2人とも俺を心配してくれた。 とにかく一人で苦しんでいたせいか俺は初めて両親の温かさに気がついたよ。 結局一番怖いのは人間だな。 長くなったが読んでくれてありがとう。

後日談:

  • 追伸: AとBだけど、あいつらはずっと見ていない。 多分………Bがそれなりの“呪縛”を解いたんじゃないかって勝手に想像してる。

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