
長編
カラオケ店のメリーさん
匿名 3日前
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ろうとしたその時、メリーさんは現れた。ドアの向こうに立っていたんだ
私はとっさに扉を抑えた。それと同時に、ドアを開けようとする力が生じたのを覚えた。やつは霊体であろうはずなのに、物質である扉をものすごい力で開けようとしてくる。しかし、昨日と違ったのは、体が動くということだ、声も出る。
私は、クラスメイトの目も気にすることなく、ドアを押さえつけながら般若心経を唱えた。
ぶっちゃけ宗教なんざ信じてはいなかったが、効いたんだなこれが。
お経が効く幽霊と効かない幽霊がいるというのは本当のようだった。その仕組みも気になるがそれはまた別の機会に研究してみるとしよう。
それ以降も、3回はメリーさんが現れた。いずれも般若心経が効いてどっかに消えたんだよ。でも怖いものは怖いということで、お祓いに行ってきた。
お祓いを受けてから現れてはいない。そして、お祓いをしてくれたお坊さんが、件のカラオケ店のことを知っていたのだ。内容はこうだ。
戦国時代、あの付近は合戦場だった。(まあそれは知っていたが)。徳川と…あと一人誰だか忘れたが、戦った場所だ。中規模の戦闘とは言え千単位の人が亡くなった戦だった。
そのため付近には慰霊碑が建っていたり、明らかにやばそうな名前がついた公園とかもあった。斬首した敵兵の首を洗ってたとかなんかで。よくもまあその名称を変えずに令和の世まで続いたなとは思う。
まあそれはさておき、あの戦に赴いた武士の1人の子供が、父の部隊の後をつけて追いかけてきたらしい。まだ6つの女の子だ。
何が起こるかも理解していない女の子は近くの林からそれを眺めていた。
戦が進むにつれ、その武士のいる軍は段々と徳川軍に押され始めた。そしてついには敗れ、娘の目の前で父は捕らえられ斬首された。そして首は武功として持ち去られ、胴体は池に投げ捨てられた。
何があったのか理解できない娘は、父を助けようと池に飛び込んだが、泳ぎ方を知らないもので、そのまま溺れてしまい、数日後に水死体として、父の胴体と共に浮かび上がったそうだ。
陣を敷いていた武将の1人が、その女の子を視認していだか、子供一人のために動くことは出来ぬと思い留まったそうだ。その武将が後にその女の子の慰霊碑を建てた。
確かに、もう一度カラオケ店の近くまで行ってみたら、前回は気づかなかったがそのすぐ側に、父を思うやらなんやらと、描き綴られていた歌が彫られた慰霊碑を見つけた。
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