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中編

八王子城跡の怪

匿名 3時間前
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耳を澄ませていた。 ドン、ドン、トン、トコトン・・・ドン、ドン、トコトントン・・・・ 音が徐々に大きくなっていた。というか、近づいてきていた。 ドン、ドン、ドン、トコトントン、ドドン、ドドン、トコトン・・ 「・・・これ、太鼓の音じゃね?」 「そうだよな、俺もそう思った」 その音は祭りでよく聞くような太鼓の音だった。リズミカルで、決して野生の生き物が立てる音ではなかった。 「こんな夜中に、祭りの練習を山奥でやらないよな」 「やるわけないだろ」 ドン、ドン、ドン、トコトントントン、ピーヒャラ、ピーヒャラ、ドン、ドン、ドン・・・ 「おいおい!笛の音もするぞ!」 「やばくないか!?」 祭囃子のような音が、いつの間にかだいぶ近くで鳴っていた。 血の臭いも相変わらず濃く漂い、周囲の森の中からは祭囃子が近づいてきている。まるですぐそこの森の中で見えない人たちが祭りをしているようだった。 俺たちはパニックに陥った。 ドン、ドン、ドン、トコトントン、ドドン、ドドン、ピーヒャラピー、ドンドンドン、トコトン、ピーヒャラピーピー! 「やばいやばいやばい!」 俺たちはとっさに元来た道に向かって駆け出した。 無我夢中で暗闇の中駆け出した。 祭囃子はまるで俺たちについてくるかのように、左右の森の闇の中、鳴り続けている。 血の臭いとそこらじゅうで響く祭囃子に囲まれ、姿の見えない血まみれで踊る人々に取り囲まれているような感覚を覚え、恐ろしさのあまり気を失いそうだった。 俺とAは何度も転びそうになりながら停めていた車までたどり着き、大慌てでその場を走り去った。 2人とも汗びっしょりで、顔面蒼白だった。 あれからもう二十年以上が経つが、俺たちは今でもたまに、あの八王子城跡での恐怖の出来事を話したりする。 あの時聞いた祭囃子は、合戦の時にあそこで命を落とした人々が死して尚、踊りを踊っていた音だったとでもいうのか。 そしてあの濃い鉄の臭いは、やっぱり彼らの流した血の臭いだったのか・・・。 結局は何も分からないままだけど、あの時の恐怖は今でもはっきりと覚えている。

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