
私が大学に入学したとき、友人たちとシェアハウスを借りることにしました。家主は穏やかそうな中年の男性で、普段はあまり顔を合わせることはありませんでした。彼は趣味で陶芸をしており、時々自慢の作品を見せてくれるおじさんでした。
ある晩、私はキッチンで料理をしていると、家主が突然現れて「君、陶芸に興味はあるか?」と声をかけてきました。私は少し緊張しながら「はい、興味あります」と答えました。すると彼は「それなら、君の人生に役立つ本を持ってきたよ」と言って、分厚い本を手渡してきました。
その本は宗教的な内容で、心の成長や自己啓発について書かれていました。私は少し戸惑いながらも「ありがとうございます」と受け取ったのですが、彼の視線がじっと私を見つめているのが不気味でした。
その後、彼はしばしば私に本の内容について尋ねてきました。「その本、読んでる?君の運命を変えるかもしれないよ」と微笑みながら言われるたびに、私は不安を感じていました。彼の目はいつもギラギラと光っているように見えたからです。
ある日、シェアハウスに帰る途中、私は友人にそのことを話しました。「彼、ちょっと変じゃない?」と。友人は笑って「大丈夫だよ、ただの趣味人だよ」と言っていましたが、私はその言葉に安心できませんでした。
そして、ある冬の夜、帰宅すると家主が待ち構えており、「君が選んだ道は正しいのか?」と問いかけてきました。私は「ええ、そうだと思います」と答えましたが、彼の目は一瞬、異様に細められました。
その瞬間、私はこの人から逃げたほうがいいと直感しました。家主が私の存在を執拗に追っていることに気づいたからです。すぐさま引っ越しの準備を始め、管理会社に連絡を取りました。
引っ越し当日、家主は何も知らないふりをしていましたが、私の荷物が無くなるのを見て、微かに笑った気がしました。私はその本を持っていくことはせず、家の外に放り投げました。
後日、その本が図書館に寄贈され、普通に貸し出されていたことに驚きました。どうか、シェアハウスを考えている人は、家主の目に気をつけてください。
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