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コピペ そもそも、死に方が普通じゃない
長編

コピペ そもそも、死に方が普通じゃない

匿名 2016年9月22日
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303 :1/6:2010/09/15(水) 12:40:48 ID:2wgnOYMq0 自分が勤めている会社の事業所は結構な田舎にあって、自分はそこから徒歩15分ほどの独身寮に住んでる。 先週、同じ寮に住む35歳の先輩(Aさんとする)が亡くなって、葬式があったんだが、 Aさんと同期の先輩(Bさんとする)から聞いた、その死に関する話が自分的に洒落にならなかった。 そもそも、死に方が普通じゃないんだ。 事業所から寮へは、 事業所の裏門を出て住宅街を抜け、県道に出て少し歩いてからまた細い道に入るというルートなんだが、 その県道に直交して小川が流れていて、帰宅途中で橋を渡ることになる。 Aさんはその橋の下の浅い川に転落して、死んでいたということだ。 橋と言ってもちっぽけな橋で、歩道の欄干から川面まで、せいぜい3~4メートル程度。 足から飛び降りれば怪我すらしない高さだが、Aさんは頭から転落し、川底に頭を強く打って死亡したらしい。 現場には争った後もなく、自殺だとしてもそんな場所を選んで自殺するとは考えにくい。 また、遺書などもなかったらしい。 警察としても事件性があるという判断はしなかったようだが、どうにもおかしいと思っていた。 住んでいる町から30キロほど離れたAさんの実家で、行われた葬式はつらいものだった。 35歳の一人息子を亡くしたご両親の様子はもう、見ていられないものだった。 また、車に乗せてくれたBさんも、Aさんとはとても親しかったそうで、本当に悲しんでいた。 自分は正直、Aさんとは個人的なつきあいはほとんどなかったのだが、 ご両親やBさんを見ていると、胸が詰まってつらかった。 そして、葬式の帰りのこと。 Bさんはなんだか精神的に参っているようで、自分が運転を代わろうかとも思ったんだが、 「大丈夫だ」とのことで、行きと同じく運転してもらっていた。 しかし、途中、Bさんは不意に車を路肩に停めて、嗚咽し始めた。 「Aは殺されたんだ」 えっ?と言葉に詰まっていると、Bさんはぽつりぽつりと話し始めた。 304 :2/6:2010/09/15(水) 12:41:30 ID:2wgnOYMq0 事の起こりは、Aさんの死から2週間ほどさかのぼる。 その日、AさんはBさんや他の仲の良い同僚と、 事業所の正門前にある飲み屋で、11時過ぎまで楽しく飲んでいたらしい。 おひらきになって、飲んでいたメンツはタクシーやら代行やらで帰宅し、 Aさんは徒歩で事業所を通り抜け、裏門を出て事業所裏の住宅地ににさしかかった。 田舎なので街灯があまりない暗い道を歩いているとき、ふとAさんは違和感を感じてある家の塀を見た。 塀の上に顔だけ出して、Aさんを見ている人間がいた。 思わず立ち止まってしげしげと眺めると、それは40ぐらいの女だったが、その表情が異常だった。 ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべて、Aさんを見ていたらしい。 Aさんは、なんだこいつ?と思ったが、その家に住む精神を病んだ女なのだろうと判断して、 興味を持たれても困るので、目を合わせないようにして、その塀の脇を抜けて行った。 塀から数メートル離れてから振り返ると、女はやはりAさんに向けてニヤニヤ笑いを浮かべ続けていたそうだ。 Aさんはせっかくの楽しい気分も台無しになって、胸糞の悪い思いで帰宅した。 週明けにAさんから話を聞いたBさんは、「関わり合いにならないように気をつけろよ」と助言して、 その話はそれっきりになったはずだった。 しかし、四日後、Bさんは切迫した顔つきのAさんから、帰社後に例の飲み屋で話を聞いてくれと持ちかけられた。 何か尋常じゃない雰囲気を感じたAさんは、 その日に済ませたかった仕事を翌日に回して早めに帰社し、飲み屋へ向かった。 305 :3/6:2010/09/15(水) 12:42:13 ID:2wgnOYMq0 「何があったんだ?」 「あの女がまたいた!ニヤニヤと俺を見てやがった」 「どこで?」 「東京だ。山手線に乗っていたら、  反対側のホームの人混みの中で、ゴミ箱の向こうから顔だけ出して、また笑ってやがったんだ」 話によると、日帰り出張の帰りの電車の中でそれを見たらしい。 電車はもう動き始めていたため、どうすることもできなかったとのことだ。 Bさんはここにいたって、Aさんが何か精神を病んでいる可能性を疑ったらしい。 その精神異常者の女がAさんに執着したとしても、部外者にAさんの出張日程や出張先など分かるわけもなく、 尾行していたとしても、Aさんがいつごろそこを通るか、どの車両に乗っているかなどを、 考えて先回りするなど不可能なはずだ。 その女はAさんの幻想なんじゃないのか。 「お前、何か悩んでいるんじゃないのか?」 しかし、Bさんがそう聞くと、Aさんはその女のこと以外に悩みなどないと言う。 実際、Aさんは仕事も充実し、プライベートでもとても楽しそうにしていたそうだ。 Bさんは訳が分からないながらも、 「とにかく、そいつを見つけても危ないから近寄るな」としか言えなかったという。 306 :4/6:2010/09/15(水) 12:42:55 ID:2wgnOYMq0 しかし、さらにその数日後、Bさんもそれを見てしまうことになる。 その日、Aさんと一緒に、事業所の正門の近くにある中華料理屋に、昼食をとりに向かっていたときのこと。 突然Aさんが立ち止まり、無言で前方を指さした。 Bさんがそちらを見ると、いた。 数十メートル向こうの家の塀の上に、こちらをニヤニヤと見ている女の顔。 無性に人をいらつかせるその笑顔を見ながら、Bさんは数秒間固まっていたが、 急にムラムラと怒りがこみ上げて、Bさんはそいつを問い詰めてやろうと走り出した。 しかし、女はすぐに顔を引っ込めてしまい、その敷地に無断侵入して裏まで探したが、 もうどこにも姿は見えなかった。 女が実在することが分かって、Bさんも対処を考えたが、 ストーカーとして警察に通報しようにも、何も立証するものがない。 どうしたものかと数日考えていたところ、夜自宅にいるときに、突然Aさんから電話がかかってきた。 『助けてくれ!あいつは人間じゃない!』 「どうした!?何があった?」 『あいつが俺の部屋に来たんだ!』 「マジか!?今どうしてるんだ?」 『外に出た。お前の家に泊めてくれ!』 「分かった、ローソンのとこで待ってろ」 307 :5/6:2010/09/15(水) 12:43:44 ID:2wgnOYMq0 Bさんは奥さんにそのことを伝えてから、 ケータイでAさんと話し続けながら車に乗り、県道沿いのローソンに向かって車を走らせた。 道中、何があったかについて、Aさんから聞いた話は次の通りだった。 Aさんが帰宅して風呂に入り、Tシャツに半パンで部屋に戻り、 ベッドに腰掛けてメールを見ようとケータイを手にしたとき、それが目に入った。 ジャケットやシャツなどを掛けているハンガー(平行な棒に洋服をかけるようなもの)の服と服の間から、 再びニヤニヤ顔だけを出していたそうだ。 しかし、並んだ洋服の下に見えるはずのそいつの下半身が見えない。 それにビビリながらも怒りの方がまさって、Aさんは「てめえ!」と叫びながら脇の洋服をどけた。 そこには顔しかなかった。ニヤニヤと笑う女の顔だけが空中に浮いていた。 転がり出るように部屋を出て、手に持っていたケータイで、とにかくBさんに電話をかけたのだという。 そして、そこまで話したところでAさんは突然黙った。 「…おい、どうした?」とBさんが聞いたとき、 『うおおぉぉぉぉぉっ!』という叫び声と激しい衝撃音を最後に、Aさんは何も言わなくなった。 308 :6/6:2010/09/15(水) 12:44:44 ID:2wgnOYMq0 激しい胸騒ぎを憶えつつ、Bさんは車を飛ばしてコンビニに着いたが、Aさんの姿はそこにはなかった。 車においてあった懐中電灯を手に、走り回って周辺を探したところ、 例の橋の歩道に落ちているケータイを発見し、 まさかと思いながらその下の川面に懐中電灯の光をあてたところ、倒れているAさんを見つけたという。 駆けつけた警官にも、その後の事情聴取や現場検証でも、Bさんは何度もその一部始終を話したが、 取り合ってはもらえなかったそうだ。(むしろ疑われたようだと言っていた) その女の正体も全く分からないし、なぜAさんがそんな目に遭ったかも全く分からない。 その女を見てしまったBさんも、同じ目に遭わないかが心配でならないが、今のところ大丈夫のようだ。 それにもまして怖いのは、自分の住んでいるこの建物にそいつが来たらしい、という話だったりする。 今のところ何も見てはいないが。

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