短編
台清掃

以前、コロナ禍で仕事が薄くなったことがあり、パチンコ屋で空き台になった台を清掃・消毒するバイトに就いたことがある。
これがなかなかに旨味のある仕事で、時給は1300円。かつ、コロナ禍や法改正で客が激減していたので、ほとんどの時間店の人と"インカム"と呼ばれる無線機でおしゃべりして過ごした。
ただ、一応は見て回らないと空き台になったかどうか確認がとれないので、見て回るのだが、その中にいつも同じ台に座るおじいさんがいた。
とにかく、その場所から一日中動かないのだ。
もっとも俺の勤務時間が4時間ほどしかなかったから、一日中とは言えないかもしれないが、
朝のシフトでも昼でも、夜だって常にそのおじいさんは同じ台に座り続けているようだった。
"今どき、あんなのめり込んでいる人も珍しいな"
と、当時は思い、少し哀れにもなった。
まぁ、本人が楽しければいいのかもしれないが。
ある時、近場の大型店で旧周年イベ日があり、客のほとんどがそちらに流れてしまった日があった。
ただでさえ客が少ないのに大打撃ですね、などと人のいい店長と冗談を言っていると、ふと、あのおじいさんが目に止まった。
店内はガラガラ、いや、もうそのおじいさんしかいないと言ってもいい。
俺はちょっとした話の種に聞いてみることにした。
「店長、あのおじいさんていつも居ますけど、長いこと常連さんなんですか?」
すると店長は少し困ったような顔をして、言いづらそうに、こう言った。
「Tさん、見えるのかー。気にしなくていいよ。ただ、他の清掃員には言わないでね。」
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後日談:
- 普通に人に見えるんですよねー。 その時はびっくりしましたww
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