
優斗君という中学生が、ある冬の夜、妹の明音ちゃんから聞いた話だ。
明音ちゃんは小さい頃から非常に内気で、人と会話をすることすら苦手だった。彼女は大きな音にすぐに驚いてしまい、周囲の人々から距離を置いていた。
周りの子供たちが元気に遊ぶ姿を見るのは、明音ちゃんにとって苦痛であり、同時に恐怖の源でもあった。幼稚園では、彼女を理解してくれる先生が近くにいたため、何とか過ごすことができたが、小学校に上がると、その環境は一変した。
明音ちゃんは学校に通えなくなるまで、あっという間だった。友達の笑い声や、体育の時間の笛の音は、彼女の心を削り続けた。
両親は心配し、明音ちゃんが「学校に行きたくない」と訴えると、優しく頭を撫でながら「行きたくなったら行けばいい」と言った。
しかし、共働きのため、彼女は日中一人で家の中にいることが多かった。明音ちゃんは内気で怖がりであるため、独りで過ごすことはとても不安だった。
だが、彼女にとって昼間の独りは全く恐ろしいものではなかったのだ。その理由は、彼女には一人で過ごす時間をサポートしてくれる“友達”がいたからだ。
「それは、私のデジタルペットです。特に、可愛いネコのキャラクターが好きでした」
彼女の言うデジタルペットは、スマートフォンのアプリに登場するバーチャルな生き物で、彼女はそれらと常に一緒に遊んでいた。朝、両親が家を出ると、明音ちゃんはそのデジタルペットたちと無邪気に遊び、昼食を分け合い、昼寝をするのが日課だった。
ただ、両親が帰ってくると、彼らの姿は現れなかったという。
明音ちゃんの不登校は半年続いた。彼女は次第に、「このままではいけない」と思うようになった。ある夜、彼女は「学校に行きたい」と言った。両親は泣きながらそれを喜び、彼女は少しずつ再び学校へ通うことになった。
彼女が学校で友達と話し始めるようになると、デジタルペットたちはまったく姿を現さなくなった。明音ちゃんはそのことを寂しく思ったが、同時に新しい友達ができたことに嬉しさを感じていた。
「でも、なんだか変だったの。彼らは私が新しい友達を作るのを嫌がっていたみたいで…」
明音ちゃんは言った。彼女の笑顔は次第に曇り、思い出すのが辛いことを話し始めた。「特に、ある日、デジタルペットたちは私を、一番暗い部屋に連れて行こうとしたんです。私はとても怖くて、絶対に行かなかった。」
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