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山神蓮花
長編

山神蓮花

匿名 2013年3月16日
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今から三年ほど前のことだ。 当時、私は熊本県の某中学校の教師をしていた。宮崎県にほど近い片田舎で、全校生徒の数が百人にも満たない小さな学校だった。東京で生まれ育った私にとって九州に引っ越すことは不安に満ちたものだったが、村の人々は余所者の私にとてもよくしてくれた。炊事の不慣れな私に食事を差し入れてくれたり、近所での会合に誘ってくれるなど、心遣いが本当に嬉しかった。多少の不便さはあったけれど、東京よりもずっと過ごしやすかった。 二年目の夏にもなると、私もそれなりに適応できるようになった。 娯楽らしい娯楽がなくとも、田舎には面白いことを幾らでも見つけることが出来た。そういう意味では、私に山での遊び方を教えてくれたのは生徒たちだった。 彼らは殆ど一年中、山で遊んでいた。もちろん野球やサッカー、テレビゲームなども大好きだったが、山を駆け回ることの方が多かった。 私は当初、生徒たちだけで山に行くのは危険だと思ったのだが、年配の先生はそんな心配はしたことがないという。保護者の方もそういう方ばかりで、山で危険な場所に近づくような素人はいないのだそうだ。 その点、私は都会育ちの素人なので、危険か安全か判断がつかない。生徒たちに連れられて山に行った時にも「先生。そっちは危ねぇ」「泳いでいいのはこっちだけ」などと指導を受けた。私には、その境界がまるでわからなかった。 私が生徒たちに教わったものの中でも、特にすばらしかったものは釣りだった。 子供たちは自分たちで竹を切って、自分たちで竿を自作する。男子生徒のほぼ全員が「肥後守(ヒゴノカミ)」という小刀を持っていて、すばらしく切れ味がよかった。日本刀のように刃文があり、そんな代物を指先の延長のようにうまく使いこなす生徒たちに、私は度肝を抜かれたものだ。私も彼らに教わりながら竿を作り、四苦八苦しながらもなんとか自分の竿を完成させた。 渓流釣りは私の心を魅了した。ほとんど毎日学校が終わった後、山間の渓流で釣り糸を垂らす。最初の頃は餌をつけるのにも苦労したが、実際に魚を釣ってみると苦労などと思わなくなるから不思議だ。 私は生徒たちが呆れるほど渓流釣りにハマった。釣った魚はその場で捌き、頭を下にして焚き火で焼き上げる。鮎などは臭みもなく、とても美味しかった。 自分の釣った魚の味に魅せられた私は、ますます釣りに没頭した。 夏休みも半ば過ぎた頃、ちょうど盆を終えたぐらいだと記憶している。 私はいつも

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