
短編
集団の正体
匿名 2日前
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私は物心ついた時から特定のある夢を定期的に見ていました。
それは、まるで蟻の細い巣穴を木の枝でつつくと蟻が溢れ返り一時的に真っ黒い粒状のモザイクが出来るような。
夢の中はどこまでも真白く果てない空間で、だからこそ異様なまでに目立つ黒い生物が集団でわしゃわしゃと「何かをしている」のです。
その集団を、私はただ見ていることしかできません。
そんな夢を、凡そ幼稚園~小学校卒業まで見続けました。
不思議で謎めかしい夢で、話の種にすらなりません。
思春期真っ只中になると、その夢を見る事は無くなりました。
夢の存在も忘れ高校生になった時、あの夢をまた見る事になりました。
相変わらず未知なる黒い生物は集団でわしゃわしゃと何かをしているのですが、これまでと違う所がありました。
それは、双眼鏡でも付けてるかのようにそれらの存在を間近で双眸に映せるのです。
黒い生物たちは、私に見られていることに気付いたのか、蜘蛛の子を散らすように逃げて行きました。
すると、なんとその中心に私が居たのです。
血塗れになった真っ白な小さな姿の自分自身。
朝、目が覚めると心がスッキリしたような心地でした。
あの日から10年、あの夢は見ていません。
余談ですが、私は幼稚園~中学卒業するまでに教師含め同級生、友人からも酷いいじめを受けていました。集団から、時には殴られ蹴られ首を絞められた事も。
心理学に、シンクロニシティという言葉があります。所謂予知夢(予兆)ですが、11年という長い時間受けたいじめから高校に上がって解放された時、終わりを告げるように最期にあの夢の終演を見たのかもしれません。
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