
中編
押入れの隙間
匿名 3日前
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に当たってしまい、余計な音を出してしまったそうです。すると、ふすま一枚隔てた向こうから、ゆっくりと押入れに近づいてくる足音がしました。
ああバレてしまう、とYさんは半ば諦めたのですが、ふと、どうせ見つかるのだったら驚かしてやろうと悪戯心に火がつきました。
相手がふすまを数センチ開けたときを見計らい、口を大きく開け、白目を剥いた表情を作り、隙間から一瞬だけ顔を見せてすぐに引っ込めました。
当然U君はびっくりしただろうと、すぐさま押入れから出て反応を確かめようとしましたが、部屋には誰もいませんでした。後でU君に聞いてみても、あの部屋には行っていないと言われたそうです。
「俺が実家で見た顔は、あのときの俺なんだよ」
Yさんは苦笑いに似た、何とも言えない表情で私にそう話しました。Yさんの部屋の時間が歪んで、ほんの十数秒だけ過去と未来が繋がったとでも言うのでしょうか。だとすると、子供の頃のYさんが押入れで感じた人の気配は友達のU君ではなく、まさしくお盆に帰省していた未来の自分自身だったことになります。
「押入れに隠れていたときは、ふすまから相手の顔は見れなかったんだ。怖がらせるために白目を剥いていたからな。でも逆にそれが良かったのかもな」
だってよ、とYさんは真顔になって続けます。
「ゾッとするのは、もし目が合っていたら、ということなんだよ。本来出会っちゃいけない俺たちが互いの顔を見てしまったら、どうなっていたんだろうって考えると・・・」
そう語るYさんの表情は、病人のように真っ青でした。
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chat_bubble コメント(6件)
- 怖いと言うより不思議な話では? それとも、私が理解できてないだけ? いまいち恐怖ポイントがわからない乗馬
- もう押し入れ開けられないよう!しゆか
- 怖すぎ!!!ふたち
- 現実とは思えないほど怖い…K
- なんかこの話を見て隙間を見たら、 なんか居そうで怖くなった秋斗
- 俺こんな不思議初めて‼️ブルー