
長編
お世話になります。
モコ 3日前
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り、それがなんなのかは友ちゃん自身も深くは知らないようでした。
ただ、友ちゃんの一族の女性は必ずそれを肌身離さず持ち歩くらしく、友ちゃんの家は広いお庭に先祖代々のお墓があり、そのお墓にもその木のお札を使うとの事なので、多分宗教的な要素が大きいのかな?とそこまで深くは考えていませんでした。
そんなある日、もう大学も三回生でそんなに頑張って授業に出なくても良くなってきた頃です。
私はその日授業が無かったので、自分の部屋で1人のんびりしていました。
友ちゃんは大学に行っていましたが、前日いつものように一緒に寝ていたので友ちゃんの抜け殻が朝出て行ったまんまで残っていました。
私もその横で寝転んでテレビを観ていましたが、ふと友ちゃんの抜け殻に目がついて気づいたのですが、あの巾着袋を置いたままだったのです。
あれ?忘れるなんて珍しいなぁ、と思った瞬間、人生で初めての金縛りにあいました。
本当に、テレビの方を向いたまま寝転がりこんなにリラックスしている状態で体が固まり全く動きません。
その間にもテレビの画面だけが賑やかに動いています。
テレビの向こう側が窓になっており、西日がきつくなってきた時間帯でした。
すると、部屋と廊下を隔てている扉がガチャ…と開いた音がして、ずっ…ずっ…と足を引きづりながら歩いているような音が聞こえ、それが私の足元に近づいてきました。
そのまま、私の背中側から足元、太もも、腰、背中、肩…へとずり…ずり…とゆっくりゆっくり近づいてきました。
後ろにいるので何が来ているのか全くわかりませんでしたが、不思議と怖いという感覚は無く、どちらかといえばこう、手を添えて助けてあげたくなるような雰囲気でした。
そうして私の頭の後ろまで来た「それ」は立ったままグルンっ!!
と私の顔を覗き込んで来ました。
西日がきつく、逆さまの顔は逆光で顔は真っ黒で何にも見えませんでしたが、何故か表情が頭の中に直接伝わるような感覚があり。
その真っ黒な顔は一瞬「え?」と意表を突かれたような顔をしましたが、すぐ穏やかに笑っているように見えました。
そして、まるで会釈をするように深々と私の顔に逆さまの顔を近づけて、また顔を離すとそのまま上体を起こしまた立った姿勢に戻り、そうしてまたずり…ずり…と離れながら音が小さくなり、すっ…金縛りが解けました。
今起こったことが自分で整理出来ずに、しばらくテレビを観ながらボーっとしているとどれぐらい
後日談:
- あ、ちなみに友ちゃんは親族とは絶縁し、天涯孤独の身になりましたが幸せそうです。 それと、友ちゃんのお庭にあるお墓には、小さい頃に亡くなってしまった女の子のお墓があり、友ちゃんの祖母と母はその子を供養するために非人道的な扱いを受けても本家に残っていたらしいのですが、2人が亡くなってしまい手入れが行き届いていないお墓のせいか、従兄弟夫婦は子供を立て続けに死産し、伯母夫婦は体を壊し遠くの病院へ別々に入院しているそうです。 友ちゃんのお家は代々分骨して半分お寺に納骨してもらうそうなのですが、その女の子の骨は受け取りを断られたそうです。 呪いにしろなんにしろ、私は正直スッキリしました。
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- いえいえじゅうぶん読みやすいですよー初めてにしては上手いですね〜私よりじょうず結梅