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面子遊び
中編

面子遊び

匿名 2016年6月13日
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友達のお父さん(以下Gさん)が体験したらしい話です。 Gさんが子供の頃住んでいた家の近くには誰もいないお寺がありました。 そのお寺には窓もなくとても古くて汚れていましたがその中は風通しもよくとても涼しかったため夏になるとGさんはそこに忍び込み友達たちとその頃流行っていた面子やトランプ遊びなどをしてよく遊んでいたそうです。 そんなある日、いつものようにそこで遊んだその帰り道、Gさんはお寺に持って行ったトランプを忘れてしまい一人でお寺にトランプをとりに行きました。 トランプを見つけそれを持って帰ろうとしたとき後ろに誰かの気配を感じ振り向くと自分と同じくらいの歳の浴衣のようなものを着た女の子(以下Oちゃん)が立っていました。 Oちゃんはトランプを指差し 「なんだ?それ」 と言いました。 Gさんが「トランプだよ」と答えるとOちゃんは首を傾げました。 Oちゃんはトランプを知らないようでした。 Gさんはトランプのことを説明しトランプ遊びをいくつか教えてあげましたが全くルールを覚えませんでした。 どうやらOちゃんはルールを覚える前に数字の意味がわかっていないようで数字やアルファベットが書いてあるカードの右上を指し「これはなんだ?」と聞いてきたらしいです。 GさんはOちゃんがトランプをするのは難しいと思い面子を教えることにしました。 面子のことはすぐに覚えられたらしくOちゃんはとても楽しそうに遊んでいたそうです。 Gさんは帰ることも忘れ夢中でOちゃんと遊んでいましたが二時間ほど経ち、Gさんはおかしなことに気が付き始めました。 もう夕方になって暗くなってもいいはずなのに外はずっと明るいままだったのです。 ふとOちゃんを見ると、Oちゃんは最初に見たときより痩せていました。 気のせいだと思いましたがしばらくしてOちゃんをもう一度見ると怖いくらいガリガリになっていました。 Gさんはさすがに怖くなり面子をほったらかしにして帰ろうと振り返るとさっきまでいなかったはずの浴衣を着た女の人が火のついたロウソクを持ち立っていました。 Gさんはその女の人に「誰?」と聞くと後ろにいたOちゃんが消え入りそうな声で 「うちのお母だ」 と答えました。 Oちゃんのお母さんはお寺に火を付け始めました。 Gさんが恐怖で動けないでいるうちに火はどんどんお寺を包み始めました。 Gさんが「もうダメだ」と思ったときです。 いつの間にか更にガリガリに痩せて倒れ込んでいたOちゃんが「あっち」と言って何かを指差していました。 そこを見ると子供だったら逃げ出せるくらいの小さな穴がありそこにはまだ火がきていませんでした。 Oちゃんは最後の力を振り絞るように 「面子遊び、またやろうな」 と言って力尽きたように動かなくなりました。 Gさんは恐怖と悲しさで泣きながらその穴から逃げ出しました。 そこからの記憶は全くないそうです。 眼が覚めるとGさんのお姉さんがGさんを心配そうに見つめていました。 辺りを見回すとそこはお寺の外でした。 お寺は火事になどなっていませんでした。 お姉さんはGさんがいつも帰ってくる時間に1時間経っても帰って来ないためお母さんに頼まれGさんを探しに来たらしいです。 Gさんは今までの体験をお姉さんに話しましたが信じてもらえず夢でも見たんじゃないかと言われました。 Gさんがこの体験を友達たちにも話すと友達はみんなそこに行くのを怖がって行かなくなってしまいました。 そして最近になってそれが夢ではなかったことがわかりました。 今のお寺が立つ前の大正時代もそこはお寺だったらしいのですが一度火事になって取り壊されているらしいのです。 その火事はある母と子が貧困のため心中をしようとしてそこに火をつけたのですが、子供はそこから脱出したのでした。 当時そこはかなり山の深くだったため火事には誰も気がつかなかったそうです。 母のいなくなった子供は山から出ることもできず、生きていく術もなくお寺の近くで餓死してしまったらしいです。 今のお寺はその親子の慰霊のために当時のお寺そっくりに建てられたものでした。 そのお寺は除霊され今でも残っているそうです。 大人になったGさんはそのお寺に行ってみると当時の面子が置いてありました。 不思議なことに全く埃をかぶっていなかったためまだこの面子でOちゃんが遊んでいるんではないかと思いました。 Gさんが面子に近づくと優しい風が吹き面子がひっくり返りました。 それは約束通りGさんが面子をまたやりにきてくれたとOちゃんがGさんを歓迎しているようでした。 Gさんはもう古くて簡単にひっくり返るようになったその面子を回収し新しい面子を置いておいたそうです。

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