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中編

絵画の秘密

えい 2018年2月18日
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その絵画はバレリーナが 華麗に優雅に舞う姿を描いた物だった。 モデルは20代前半の女性が3人で手前に1人後方左右に1人ずつが舞台の上で 舞っている。 画題は 時 となっていた。 持ち主が已むを得ない事情で手放した物として 売りに出されていた物を 友達 ( N )の母親が購入して来た物らしい。 Nは 最初 見た時に違和感を感じたらしいのですが 母親が気に入っていたので 何も言わず リビングに飾っていたそうです。 絵画をNの母親が購入してから 3日後から 物が勝手に動いているという事が何度もあった。 それは 気付くか気付かないくらいの感じで ポルターガイストの様な 大きな物が動くというものとは違うと言っていました。 例えば 朝 机の上の本に 肘が当たり 床に落としてしまったが そのまま 家を出て 帰って来ると ベッドの上にあったり 食器を大きさ別に重ねているものが バラバラになっていたり そんな感じだったらしい。 留守の間に誰かが入り 込んでいるのかもと 父親が ドアに鍵を新たに1つとダミーを1つ 付けた。それでも 家の中の些細な物が動くという事は無くならなかった。 それから 一ヶ月くらいしてから 母親が絵画が変だと言い出した。 Nが見ても良く分からなかったが 母親は購入して来た時の物とは違ってると そこで何処が違うのか?を母親に訊ねると 母親は舞台に小さな女の子が居ると言った。 Nは絵画を食い入るように見つめるが その小さな女の子を見付けられなかったが 妙な違和感だけはあった。 母親は気味悪がって 物置にその絵画をしまってしまいました。 月日が経つに連れ おかしな事も増えていった。 特に 糸や紐といった物がやたらと切れる様になった。新品なのに糸が綻び ほどけてしまうとか 靴紐が切れるはずの無い位置で切れているとか……。 そして そんな小さな事が積み重なった結果 Nの母親が体調を崩し 静かな場所へ引っ越す事になり NとNの友達と父親とで 荷物の整理を始めた。 Nは物置に押し込まれた 母親が買い集めた絵画を包装していた。 そして そういえば……とあの時の絵画を探した。 てっきり 手前に放り込んだと思っていた 絵画は随分と奥の方に置かれていた。 ( よっぽど 見たく無かったんだな…。) そう呟いて Nは絵画を見た。 パッと見ただけじゃ ソレは分からなかった でも良く見ると 母親が言っていた様に気味の悪いモノが描かれていた。 ただ……母親が言っていた小さな女の子では無く髑髏のようなものだった。 そして…更に 気味悪い事に Nは 気付いた。 真ん中で 身体を折り曲げ 右手は横に伸ばし 左手を左足の足首辺りまで伸ばしている その女性のトゥシューズの紐が切れていて こめかみに 赤黒い筋の様な物が見えた。 指で擦ると塗料が剥がれ落ち 下に描かれている物が見えた。 Nは 布切れでその絵画を擦った。 すると……… 現れた その絵画は 華麗に優雅に舞うバレリーナの姿では無く何と言うか…… 悪意のある 不気味なものだった。 母親が小さな女の子と言っていたのは 保々 髑髏の様な顔をした 気味の悪い姿をしていて 後方の真ん中に悪魔の姿が描かれ 後方左右にいた 二人の頭は悪魔の手に 握られ 今にも引き千切れそうに なっていた。手前にいた バレリーナは 羊の顔をして身体は人間の奇妙なモノに頭を割られ その血が顔全体を赤く染めていて 流れる血を左 手で掬おうとしていた。 於曾ましかった…。 Nはその絵画を その場で叩き壊すと庭に出て 焼却炉に叩き込み 油をまき火を点けた。 勢い良く炎が上り 焼けて行く絵画だった物をNは 見つめていた。 燃え盛る 炎の音なんだろうか? 遠くで地の底から響く様な低い唸るような声が聞こえた気がした……。 その後 Nの母親は 徐々に回復し 今でも 健在です。

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