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中編

鉄砲百合の咲く岬

雪の結晶 3日前
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人の気配がしなくなった辺りで突然、彼女が「怖い!もう引き返してよ」と叫んでいるのだがその言葉が気にならない。 「なんなの!」と頬を叩かれてやっと車を停め、不意に俺は車を降りた。 全然意識はハッキリしているのだが、どうして自分がここに来たか分からない。 ただあの時の甘い匂いが辺りから漂ってくる。よく見たら辺りは鉄砲百合の群生地のようだ。 ここは何処だろう?辺りは薄暗くて見えにくいが奥の方に歩く俺。車に残された彼女が「何処に行くの!止めてよ!怖いよ!」と叫んでいる。声が上擦っている。 多分泣いているのだろう。そんな事をぼんやり考えながら更に進む俺。 潮の香りもしてきた。どうやらここは何処かの岬の様だ。ちょっと上った辺りに展望台も見える。 展望台に向けて足が進むと、またあの晩の悲愴感に襲われた。 俺はいつしか号泣しながら歩いていた。 「待ってよ!もういい加減にして!!」と背後から追いついた彼女が頭を叩いたから思わず「痛っ」と振り返った。 「何処に行くの・・・ああっ!」と短い悲鳴を上げる彼女。 「どーした?」と聞くと、小声で「足元・・・」と呟いた。 見ると俺の足元右側に作業服を着た男性がくの字型にうっぷして倒れている 顔の下には重みで潰れた百合の花が見える どす黒い顔面がもはやこの世に生命はない事を物語っていた。 さっきまでの悲愴感は消え頭が急に冴えたかと思うと辺りは腐敗した匂いに変わり、俺は吐いた・・・。 その後、警察署で事情聴取を受けて信じてもらえないだろう話をする俺を何故だか担当警官は「うん、うん」と聴いてくれ、少し安心した。 「検死中だからはっきり言えないけど、死因は心筋梗塞みたいだよ。君の話は信じ難いが、直接的に関係ないのは分かっているから、大丈夫だよ」と言って帰してもらった。 後日、分かった事だがあの日俺がいた駐車場は実は亡くなった男性の自宅の側にあった事を警官から聞いた。 その警官も「たまたま君が見つけてくれたから居場所を教えたかったかもね」と意味深に電話口で話していた。 そうか・・・だったら解決だよな。俺って霊能者みたいじゃん!なんてノリで、超能力に目覚めた主人公的でその時はニヤリとする気分だった。 でも大変な事にあれから沢山のモノを見るようになってしまった。 もう、笑えない。

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  • これは作品ではなく、私が体験した実話です。 末文にも書きましたがその後は霊媒体質が開花し、数年間は相当キツい思いをしました。3人の霊能者の方々の協力により、封印してもらい今の人生があります。
    ナルトン
  • 読みにくい
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