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中編

ボルネオのジャングルで

匿名 3日前
怖い 202
怖くない 151
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何が何だかわからないまま、一瞬で一人ぼっちになってしまった。そう思ったら恐ろしくなった。敵に襲われたわけでもないのに2人もいなくなった、何が起こってるんだ。元の部隊に合流できるのか?それどころか、今日の夜も越せないかもしれない。 爺さんは先に進むしか考えられなかった。ところどころ建物以上に高くなった木が邪魔だ。枝葉を払いながら歩くと蔓が腕に絡んだ。払おうとするもマジックテープのようにへばりついてなかなか取れない。引きちぎろうとすれば逆に身体を引っ張られる。ナイフで切ると、びよん!とバネのように縮んで奈落に消えた。 (なんだこの蔓草…あれ?AとBが落ちたのって、もしかして) 急に爺さんは足元をすくわれて転んだ。びっくりして見たら足首に蔓が絡まっている、さっき切ったものよりずっと太い蔓が。 爺さんはパニックになった。ナイフを振り回したが、切れない。軍靴を脱ごうとしたがゲートルに絡まってると脱げないんだ。爺さんは確信した、間違いない、AとBを引きずり落としたのはこの蔓草だ。転んだままの体勢で見回せばそこらじゅう蔓だらけじゃないか。爺さんは現地住民の家からくすねたナタを振った。手元がブレブレで何度も足にあたり血が出たが、おかまいなしに蔓めがけてめった切りに切った。 ぶつん!と嫌な音がして、蔓はジャングルに引っ込んだ。さっきまでの格闘が嘘みたいにジャングルは静まり返っていた。 爺さんはその後別の隊に合流でき、終戦で無事に帰国できた。 AとBは結局、生死は分からずじまいとなった。ひょっとしたら生きていたかも知れない、落ちたときにどこかに引っかかって、でも怖くて戻れなかったと。それって爺さん仲間を見殺しにしてるじゃんと胸糞悪くなるが、生きて帰ってきたからおれが今ここにいるわけで。 「ボルネオはよくわからんものと戦ってたよ」 怖いもの無しの爺さんだが、戦争だけは未だに時々うなされるらしいのだ。

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