
私が数年前に同僚から聞いた話だ。彼は高層アパートの管理を担当していた。
そのアパートでは、最新の監視カメラシステムを導入することになり、若手プログラマーの田中がプロジェクトの主担当になった。最初は数ヶ月かかると言われていたが、田中の迅速な作業のおかげで、わずか2ヶ月でシステムを稼働させることができた。
システムが稼働すると、住人たちも安心して暮らせるようになり、管理会社の評判も上がった。特に、田中はその年の優秀社員として表彰され、同僚たちからも一目置かれる存在となった。
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しかし、ある日、住人からの問い合わせが増え始めた。監視カメラが映す映像に、何者かの影が度々映り込むというのだ。最初は疲れやストレスから見間違えているのだろうと考えていたが、次第にそれが頻繁になると、管理者たちは不安を抱くようになった。
「何かおかしい」と感じた管理者の佐藤は、田中に調査を依頼した。数週間にわたり、システムの検証やカメラの設定を見直したが、特に異常は見つからなかった。セキュリティは万全で、データの漏洩もなかった。
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問題が深刻化したのはそれからさらに1ヶ月後だった。住人の中には、監視カメラの映像を見て自宅に侵入される夢を見たという者が現れ始めた。そんな中、別のIT企業に調査を依頼したところ、驚くべき事実が明らかになった。それは、システムに仕込まれたバックドアだった。
田中は、システムを開発した際に、意図的に侵入経路を設けていたのだ。それによって、外部からの不正アクセスが可能となり、住人のプライバシーが侵害されていた。しかも、彼はこの情報を闇市場で売買していたという。
逮捕された田中は、すべては会社の指示だったと主張していたが、その真実は誰にもわからない。高層アパートの平穏は、彼の手によって崩れ去ってしまったのだ。夜の静寂の中で、住人たちが恐るべき影に怯えているのを知りながら。
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