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新聞配達
長編

新聞配達

*ゆん* 2015年8月12日
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私が大学生の頃、朝刊の新聞配達のバイトを3年間やってました。 チラシを入れるところからガッツリやっていたので、早朝の2時半頃から6時頃までが仕事の時間帯です。 いわゆる丑三つ時ですので、配達中はいろんなことがありました。 その上、ちょっと田舎だったので、私の配達区域には、住宅の間に突然墓場があったりする地区でした。 配達先に火葬場、中学校、お墓を通り抜けないと行けない家など、怖いバラエティーに飛んでおり、最初の1週間ぐらいは怖くてしょうがなかったんですが、だんだん慣れ、どちらかというと麻痺してよくわからなくなってました。 配達中いろんなことが起こります。 深夜3時過ぎに墓参りするお婆さんがいたり。 お通夜の提灯が出ている家の玄関に1メートルぐらいの白い煙玉が浮いてたり...。 いつもは何もないのに、中学校の職員室に新聞を差し込んだ瞬間に窓ガラス小刻みにガタガタ音を立て、しばらく止まらなかったり... 墓場の前で休憩してたら急に鼻歌が聞こえて、辺りをみても誰もいないとか...。(笑) いま考えると絶対やりたくないんですが、当時は一応お守りだけもって休まず続けてました。 おかげで新聞屋さんからも信頼され、1年続けたところで、空き家になっている支店に住み込んでやらないかと持ちかけられました。 2階建ての一軒家。1階は新聞専売所兼。 家賃は1万円。水道光熱費込み。そして給与天引き。 当時、学費を自分で払っていたので、二度返事で飛び付きました(笑) 引っ越し、掃除はお金がかかるので、新聞屋の車を借りて、自分でやりました。 一階は新聞折り込みを入れたり、積んだりできるように土足で入れる感じで、事務所みたくなっており、窓も三方についているので明るい。ここだけは普段から解放して使っているので私も使ったことがあり、見たことある。 居住スペース入口の横にある扉を開けると、窓が全くない部屋で、写真現像用の暗室。昔は記者も出入りしていたとのこと。 住居スペースはもう何年も使ってないそうで、すべて雨戸も締め切ってある状態。 鍵を開けてまずは1階。 入ってすぐ左にシャワー。奥にキッチン。 キッチン脇に勝手口。縁側に出れる窓もあり、サザエさんの家みたいな感じ。 ただ、キッチンは配達の人もお茶を入れるなどで使うので、人の手が入っており、掃除の必要も無さそうなぐらいきれいです。 そして、2階へ。 ここからは何年も使ってないエリア。 上がりきると三方に部屋があり、正面は6畳、左は3畳、右に4畳半。すべて和室。 6畳と4畳半はふすまを開ければつながる。 雨戸を開けると埃がすごい。 6畳間の真ん中に落ち葉?と思ってひっくり返すとカリカリになったコウモリの死骸だった。...本当に使ってないのがわかった。 ひたすら掃除して、換気したら半日できれいになった。 そして、その日のうちに引っ越しは完了した。荷物も少ないので早く終わった。 寝室は4畳半にして、居間は6畳の部屋。3畳の部屋は使わないことにした。 新聞配達の仕事は早朝とはいえ、2時30 分には仕事開始なので、寝るのはいつも21時ぐらい、2時には起きる暮らしでした。 住みはじめて2日目の夜。 仕事に向けて寝てました。 すると、、、 バタン!!! と、寝室の4畳半の部屋と6畳の部屋の間のふすまが勢いよく開き、そのまま枕を蹴り飛ばされます。 寝起きでよく理解できない上に、乱暴な起こし方ですから、当然頭にきて、コノヤローってな感じでバッと起き上がると誰もいません... 時間を見ると深夜の2時前。 ちょうどいいや、仕事いこうかな... とその日は余り気になりませんでした。 次の日。 全く同じ事が起きました。 ...ありがたいけど誰?と思いながらも気にせずにいました。 次の日。新聞休刊日で朝刊が休み。 するとこの日は、3畳のある部屋の方のふすまから、いつもと同じ時間の2時前頃に静かにやって来て、私の寝ている頭の右側にあぐらをかいて座って、大きな声で笑いながらどうもお酒を飲んでいるようです。 私も大きな声で笑ってます。 自分の笑い声を聞いて、 あれ?なんだこれ?と思い、 起きるとやっぱり誰もいません。 部屋も真っ暗のままです。 さすがに仕事の前に起こしてくれるだけならいいですが...休みの日まで来られると困ったものだなと思いました。 そこで、こう言うことに詳しい父親に相談し、聞いた対処法をやってみました。 半紙と墨とコップと水を使って言われた通り行い、来なくなるまで続けました。 するとある時、パッタリ来なくなりました。 ああ、よかったと思って後始末をしました。これでゆっくり寝れる!! 翌日、仕事に遅刻し、来なくなったことに若干後悔しましたがあの人誰だったんだろうって、思い出す時があります。 このあと、何事もなく、同じ場所に2年暮らしました。 あれからもうかなり経ち、久しぶりに、なつかしいなと思いだし、見に行くと、建物はとても綺麗になっており、建て直してありました。 もう完全にいないでしょうね。

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