
これは去年の冬、私が体験した話です。
私は三歳の息子を公園の遊具広場で遊ばせていました。
ベンチに座って温かい飲み物をすすっていると、近所の主婦である吉田さんがやってきました。彼女の足元には、今年で三歳になる男の子と女の子の双子がいました。とても愛らしい子供たちです。
「こんにちは、吉田さん。最近元気そうだね。」
「こんにちは。ええ、でもちょっと疲れ気味かも。」
私たちはお互いにそれなりに親しい間柄なので、育児の悩みや日常の雑談を交わしました。特に育児の大変さや、共通のママ友の話題で盛り上がりました。
「双子の子育てはやっぱり大変なの?」
「そうね、一人だったらもっと楽だったかも。」
広場の片隅でシーソーが空いているのを見て、吉田さんは子供たちを呼び寄せました。双子は嬉しそうにシーソーに乗り込み、無邪気に遊び始めました。
「実は、今度一人旅に出る計画を立ててるの。」
「それはいいね!子供たちはどうするの?」
「一人は夫に預けて、もう一人は連れて行こうと思ってるの。そうしないと寂しいから。」
「どちらを連れて行くの?」
「シーソーで決めるわ。」
子供たちは元気いっぱいにシーソーを揺らし始めました。すると、息子の方が少し重いのか、シーソーが傾いて止まりました。
「決めたわ。重い子を抱えて旅に出るのは、私には無理だもの。」
その後、吉田さんは双子の手を引きながら帰っていきました。そして彼女は二度と姿を現しませんでした。
数日後、近所で彼女が娘を道連れに自ら命を絶ったというニュースが流れました。育児ノイローゼが原因だったそうです。私の心に残ったのは、彼女の選択を決めたシーソーの揺れでした。何が間違っていたのか、今も考え続けています。
それ以来、あの公園に行くのが怖くなってしまいました。あのシーソーが、いつも私を見つめているような気がします。
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