
中編
肉屋のおばさん
たあ 2日前
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30年前
私が中学2年の時の話しです。
ある日部活が終わり帰る支度をしていると母から電話がありました。
どうやら帰る途中で夕飯に使う鶏肉を買ってきてほしいとのことでした。
学校から近い商店街があり、そこなら売ってるだろうと思いました。
その商店街にはその時初めて行ったのですが友人曰く古い作りで大きな迷路のような商店街だから初めて行くとどこになんの店があるか分からなくなる…とのこと。
その話しを聞いて家とは反対だけどちょっと面白そうという理由で行こうと決めました。
徒歩で15分程歩くと古い商店街の入口に着きました。
そこそこの人入りでした。
入口の横にどこになんの店があるのかが記されている年季の入った雑な地図を見て肉屋のだいたいの位置を掴み商店街の中へ入っていきました。
やはり途中迷いそうになりながらも道中に先程の地図と似た板が貼り付けておりそれを頼りになんとか肉屋へ辿り着くことができました。
「すみません、鶏もも肉400gください」
冷蔵ショーケース越しに言うと店内横の物陰からハイハイという軽快な甲高い声と共にマスクをしたおばさんがでてきました。
私は一瞬で背筋が凍りつきました。
そのおばさんはとてもよく似ていました。
私が小学校4年の時の理科担当のA先生に。
A先生は当時とても変わり者扱いされてた先生で。
一年中マスクをして男子からは口裂けというあだ名で通っていました。
その先生は鬱か何かだったのか分からないが、ある日近所の小動物などを虐待しては残酷に殺していたことがバレて教職を辞したとの話しを聞いていた。
私は当時理科委員だったのでA先生と個人的に話す機会が多かった。甲高い声の人だった。
辞職後、虐待の話しを聞いた時、私はあまりの嫌悪感で身体を壊ししばらく学校を休んだ。
あんな身近な人が…こんな身近に…邪悪はあったのだ。
その後、小学校卒業と同時に私は親の仕事の都合で他県へ引っ越したのであった。
狼狽してたであろう私の顔を見たおばさんは不思議そうに大丈夫?と声をかけました。
ハッと我にかえりすぐにそんな事ありえないと自分に言い聞かせました。
確かにA先生にとても似ているがこんなところで働いてるわけがない。
「あ…すみません!えと…鳥もも肉400gください」
おばさんはニッコリと笑い用意に取り掛かった。
用意しがてらおばさんは私に話しかけてきた。
最近寒くなってきたねぇ…お母さん何作ってくれるの
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- いや、怖い。色々怖い。知的な怖さ。びびり
- お肉屋さんのオバサンは帰り道覚えてる?と言いたかったのかな?うんこりん