
長編
深夜のドライブで見たもの
匿名 2024年8月19日
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私の友人であるKくんの体験談パート3です。
私は本当に霊感というものがなく、生まれてこの方金縛りにもあった事がない鈍感人間なので、毎回彼の話はある種のエンターテインメントとして聞いていますが、毎度心底全身が凍りつく思いをします。
伝え聞きで上手く書けない部分もありますがかつ「祖母の家で見た怪異」「祖母の家で見た怪異2」もぜひ、ご覧下さい!
これはKくんが大学生になった時のお話です。
実は私とKくんは大学からの友人なのですが、入学後友達になって間もない頃に
「聞いてくれ!昨日、ヤバい体験してん」と言われたお話。
Kくんは高校まで神戸市北区のS台という地域に住んでいました。
お父さんが刑務官?をされていたとのことで、H町にある拘置所の近くに家族で住んでいました。
Kくんが大学進学をしてからは、父方の祖母の介護などが必要になり、他のお話でも登場した大阪市のCという地域に家族で移住しました。
Kくんは大学入学後、久しぶりに中学からの友達であるMに連絡を取りました。
何の気なしに電話をしただけでしたが、他愛もない話をしているとすぐに時間も経ち、22時を回る頃でした。
ふと、Mから「お前、そういえば中学の時に貸したゲームソフト。借りパクしたまんまやんけ」と言われました。
K「いや、まだ持っとうよ。返しに行ってもええで?」
M「パチこくな(嘘つくな)や。絶対もう失くしてるやろ?」
K「マジでまだ持ってるって!電話代も高なるし、遊びに行くから、マジで返したらお前タバコ奢れよ?」
的な会話をして、S台までドライブをすることになりました。
Kくんの友人Mは神戸市北区のIという地域に住んでおり、このあたりは地元では有名な心霊現象が数多く確認される場所です。
自身も色々な心霊体験をしてきたKくんですが、良い意味で潔く、この日も友人Mと久々に会って話せる!というワクワクからドライブへの不安は一切なかったといいます。
交通費をケチるため、高速道路は使わず、下道を通ります。
大阪市のCから神戸市北区のI地域までは大体車で1時間半くらいの距離です。
地元の方なら分かるかもしれませんが、この時Kくんは国道43号線を西へ向かい、三ノ宮を少し西にいったN地区から北上するルートを選びました。
Mくんとは高校も一緒だったのですが、その高校がN地区にあったためです。
「懐かしいなぁ」
などと言いながら、N地区を右折し、I地域に向けて北上していると、片側2車線、対向2車線の幹線道路のようなところに差し掛かります。
時間は24時を回っていました。
幹線道路といっても、当時はちょっとした保養施設(現在はリゾート開発されている)や父の勤務先だった拘置所ぐらいしか目立つ建物はなく、ひたすら何もない道を走るだけの道路。
コンビニもなく、ただただ一本道です。
山手に向かう道ですから坂ですし、ワインディングのようにカーブもいくつかありますので、60km/hほどで走行していた時です。
あるカーブを越えて走行していると、後方からものすごいハイビームで近づいてくる車があります。
「え?あんな車さっきまでおらんかったよな?」
これが第一印象でしたが、どんどん縮む車間距離を見て
「めっちゃ飛ばしてんな」
「だから、さっきまで気づかなかったのに急に近づいてきたんやな」
と思い直しました。
Kくんは、他に走行車両がなかったので右車線を走っていましたが、あまりにもすごいスピードで近づいてくる後方車両に恐怖を感じ、譲ることにしました。
まだ大学1回生で、免許も取りたてのKくん。
ちゃんと免許を取る時に習った通りに譲りました。
バックミラーを確認。
次に、左のサイドミラーを見て、左車線に後方車両が迫っていないことを確認。
ウィンカーを出して、左に車線変更。
と、ここまで来て予期せぬことが起こります!
左に車線変更をして、「早く抜いてってよ~」と車を走らせていますが、待てど暮らせど後方車両が追い抜いていきません。
右のサイドミラーを確認しますが、右車線には車がいない様子。
「え、煽ってくる気?」
「自分の車について後方車両も車線変更したか?」
とバックミラーも確認しましたが、やはり車の影はありません。
「え?どゆこと??」
と思い、目視でも振り返り、リアウィンドウから後方を確認しますが、どこにも車の影も形もありません。
カーブからここまでの道は真っ直ぐな直線道路で1kmほど。
対向車線との間には越えることができない中央分離帯が途切れることなく続いています。
道路の左側にも枝分かれする道路やけもの道のようなものもなく、本当にただ真っ直ぐな一本道。
「え?どこいった?後方車両どこに消えた?」
と半ばパニックになっていると前方にトンネルが見えてきました。
「うわぁ、嫌やなぁ」
「こんな状態でトンネル入りたくないな」
そう思いつつも、車は進み、交差点などもないため回避することも出来ずにトンネルに差し掛かりました。
「嫌な気分だなぁ」
とKくんはタバコに火をつけました(この時点では未成年だったのでダメですが)。
一口吸って、煙を吐き出していると何やら右肩が冷たい。
「え?」
と思い、くわえタバコをしながら右手はハンドル、左手で右肩を触りました。
どういう訳か右肩がぐっしょり濡れています!
右肩だけ、プールにでも入ったみたいにTシャツがビショビショ。
「え?ホントに意味がわからん」
とパニックなKくん。
窓は開いていません。
天井を見上げましたがもちろん、穴も空いていないし、天井にシミなんかもありません。
「そもそも今日、雨降ってないしな」
などと考えているとパタッ、タンタン、、、と車のボディやウィンドウに雨粒が当たるような音がします。
「え、ホンマになんなん?トンネルの裂け目から水漏れか?」
と身を乗り出してフロントガラスから天井を覗き込んだり、ボンネットを確認しますが濡れている様子はありません。
パタッ、パタタ、、、
タンタン、タタタ、、、
だんだん雨足が強まるように音が鳴る頻度が増えます。
音の出処を探るべく動かしていた視線をバックミラー越しにリアウィンドウに向けた時、
とんでもないものを見てしまいます。
パタッ、パタタッという音に合わせてリアウィンドウに小さな子どもの手形がついていくのです!
エアコンをがんがんにつけていたからか、心霊現象からか、外気温との差で少し曇ったウィンドウが見る見る手形で埋め尽くされます!
「やばいやばいやばいやばい!!」
「これはやばすぎる!」
過去一の恐怖体験をしたKくんは「平常心を保たねば」と、トンネルを抜け、しばらく車を走らせ、やっとの思いで発見した最寄りのコンビニに車を停めました。
そこからMくんに電話をかけました。
「今、めちゃくちゃヤバい体験したんやけど」
と事の顛末を語ります。
Mくんは、「うわ、それマジでヤバイな!」「でも、まずそのハイビームで迫った車。逃げようとしてスピード上げんで良かったな」と言いました。
「なんでなん?」と聞くと
なんでも、KくんとMくんの通っていた中学の先生が同じ体験をしたようで、
夜遅くに猛スピードのハイビームの車に追いかけられた。
車好きだった先生は負けじと自慢の愛車のアクセルを踏んだそうです。
後ろの車に抜かれないようバックミラーで後方車両を確認し、視線を前に移した瞬間!
横断歩道を渡ろうとベビーカーを押していた母子を跳ねてしまったそうです。
「お前もスピード出してたら事故に合ってたかもよ?」
と言われてKくんはゾッとしたそうです。
結局、そのコンビニまで、Mくんに出てきてもらいそこで雑談。
目当てのゲームソフトも「ほら、ちゃんと持ってたやろ?」と返しました。
何度目かのタバコ一服の後、「解散するかー!」となり、「あ、そうやリアウィンドウの手形、気持ち悪いから拭いてから帰ろう」と思い立ちました。
あろうことか上下逆についている手形もあります。
Mくんにも手伝ってもらおうとした時、
Mくんが言いました。
「お前、これ、なんぼ拭いても取れへんぞ?」
「外じゃなくって中やわ、、、」
!!!
そうだったのです。
車いっぱいについた子どもの手形。
全部、車内からつけられたものだったのです。
車内に上下逆の子どもの手形、、、。
「一体、どうやったらそんなもんつくんやろなぁ」
不思議そうにKくんは語ってました。
お話は以上です。
余談ですが、Kくんには年下の従兄弟などもおらず、近所の子どもを乗せたこともないそうです。
そもそも、走っている途中でバックミラーを確認した時は手形なんてなかった、と。
神戸市北区のS台やIの近くはもともと大きな沼があったそうです。
今回、Kくんの話に出てきたところとは異なりますがIトンネルなんかも、立ち尽くす女性の霊を見た。小さな子どもの霊に追いかけられた。なんて体験談が絶えないんだとか。
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