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放課後に見たもの
最寄り駅鯖缶 1日前
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これは私が小学4年生の時に体験した出来事である。
私の地元は東北のとある田舎だ。
どれくらい田舎かと言うと、通っていた小学校の全校生徒数が30名に届くかどうか、といった規模だった。
クラスメイトも6人しかおらず、授業は別の学年と合同で行われていた。
この程度の人数となると校舎は一階建てであり、一本の廊下の半分が各学年の教室、もう半分が職員室などの名前が付いている部屋となっている。
体育館は、そうした教室が並ぶ廊下の中央から、短い廊下で繋がっていた。
この出来事は、そんな小さな小学校で体験したことである。
当時の私は、控えめに言っても良い生徒ではなかった。
宿題のほとんどがランドセルの底に溜まっていた私は、その日担任に居残りで宿題のプリントを終わらせる様にと言い渡された。
と言っても、国語と算数のプリントを数枚程度だ。むしろ、日頃の宿題がこの枚数に変化するのならラッキーだとさえ感じたのを覚えている。
渡されたプリントを終えた頃には、空は夕日でオレンジに染まりきっていた。
さっさとプリントを職員室へ提出し、家へ帰ろうと廊下を歩いていく。
途中、体育館へ繋がる短い廊下に設置された水道で水が飲みたくなり、進行方向を変えた。
蛇口から水を飲み、顔を上げる。
ふと、体育館の大きな扉。その窓の下を低い黒髪の頭頂部が通りすぎた。
先述した通り、全校生徒が30名程度の学校だ。
頭頂部だけでは判断が出来なかったが、私はそれを見て生徒の誰かがまだ残っていたのだと思った。
体育館の扉の前を通り過ぎるように走っていった、その誰かに声をかけようとして扉を開く。
その影が走った方向は女子トイレがある方向だった。
女子トイレの扉が少しだけ開いており、私の視線は自然とその隙間を見た。
視線の先には、首を90度横に曲げ、両目で隙間からこちらを見る真っ青な子供がいた。
状況を理解した瞬間、私は廊下を全力で駆け抜けた。
これが私の初めての恐怖体験だった。
後日談:
- 初投稿で、拙い文章失礼いたしました。 後日談がありますので、簡単に記しておきます。 その年、同級生の姉が夏休みの宿題として、自由研究で学校の七不思議について調べていました。 発表の中に、女子トイレに出る青い女の子と赤い女の子が出るという話がありました。 当時発表内容を聞いて、初めて聞いたのでゾッとしたのを覚えています。 田舎でしたので、その辺りに住む老人は皆同じ小学校に通っていたのです。 もし私が予めその怪談を知っていたなら、思い込みによる見間違いだと言い張るのですが、何も知らない子供が老人達の言う怪談と同じものを見るのでしょうか。
この怖い話はどうでしたか?