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コピペ オザワ 稲川淳二
中編

コピペ オザワ 稲川淳二

匿名 2016年7月12日
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広島県の小さな町にロケに行ったんですよ。 ホテルで一泊して次の日ロケってことだったんですが、着いたら結構遅い時間になってましてね。 わたしも部屋に入ったんですがすぐに寝れないもんですから、冷蔵庫からビールを出して飲んでたんですね。 ボーっとしてましたよ。 ああ、もう寝なくちゃまずいなあと思っていたんですが、なかなか寝れないんですよね。 どれ位時間が経ったのかわからないんですけど、どこかでドーンとドアの開く音がして、ドタドタドタ……ってすごい勢いで廊下を走る音がしたんです。 そしてドンドンドンとドアを叩く音がするんですよ。 けたたましい勢いで、ドドドドドン、おーいおーいとドアを叩きながら呼んでいる声がする。 そのホテルは我々しか泊まっていませんでしたから誰だろうと思ってね。 我々のスタッフの誰かだと思ったもんですから、ガチャっとドア開けてね見てみたんですよ。 そしたら案の定スタッフの一人が凄い勢いで、仲間うちのスタッフの部屋のドアを叩いてるんですよ。 見れば、顔は真っ青で、ガタガタガタ震えてるんです。 「何があったの?どうしたの?」って声をかけると、叩いてた先のドアがちょうど開いて、その部屋のスタッフが出てきたんですね。 彼は震えてるし、わたしも気になったんで一緒についていってみた。 「どうしたの?」って聞くと、「ああ……やあ……」とガタガタ震えて彼はうまくしゃべれない。尋常じゃないんですよね。 「おい……頼むからこの部屋泊めてくれよ……泊めてくれよ……」 ってその駆け込んだ部屋のスタッフに言うんで、「どうしたの?」のって事情を聞いてみたんですね。 彼も部屋に入ったんだけど、なかなか寝付けなかったんですね。 でも、明日の仕事もあるし、寝なきゃしょうがない。って事でベットに横になった。 電気を消して、真っ暗闇の中で静かにしてた。 と、その暗闇の中、なんとなく何かが動きまわるような気配があるっていうんですよね。 それがペッタペッタとスリッパを履いて歩きまわってる。 はじめは、よその部屋の足音が聞こえるのかと思ったけど、どう考えても自分の部屋の中で音がする。 そのうちに気配がして、ぐーっと近づく。 どうやら、その暗闇の中の何者かは、寝ている自分の顔を覗きこんでるようなんですよね。 うあああ……たまんねえなあ……と思った。 それでまた歩きまわってる。 しばらくすると、またベットに寄ってきて、自分の顔をジーっと見てる。その気配がする。 目を開けるのがこわい。でもとうとう我慢出来なくなって、起き上がって電気をつけちゃった。 まあ、部屋はなんてことないんですよ。 すっかり目が覚めたもんですから、どうしようかなあと……テレビをつけたけどもうやってやしないんですね。 しょうがないから、冷蔵庫から酒を出した。そしてベットに座って、一人グビーっと飲んでた。 ベットは壁に沿ってくっついているんですね。奥は壁、そして頭のほうに窓があるんです。 飲むだけ飲んだら、飲んだ勢いで寝ちゃおうって思ったんでしょうね。 1つ飲んじゃったから、もう1つ出してまた飲んでた。段々と気持ちが落ち着いてきた。 と、自分の座っているベット、なんだか後ろに沈む。 あれ?っと思った瞬間、後ろで音がする。 寝れなかったもんですから、さっき自分雑誌読んだんですよね。それをボーンとベットに放っておいた。 自分の後ろで何者かが、その雑誌をめくってる音がするんですね。 そんな事あるわけないと思って、その音をよーく聞いてると、確かに自分の後ろで誰かが雑誌のページをめくってる。 体が段々緊張してくる。耳は冴えてくる。 すると、段々段々とハッキリしてくる。 自分の座ってるベットに、誰かが座って、明らかに雑誌をめくってる。 うあああ……たまんねえなあ…… 頼むから帰ってくれ、帰ってくださいよー……心で一生懸命祈りながら酒を飲んでた。 シーンと空気が張り詰めてる。 と、突然後ろから、 「なあ、オザワ」 って声をかけられたもんだから、うあああああ……って思ってね。 その瞬間、正面にある鏡に映る自分の姿が見えた。 驚いている自分の顔の横に、男の顔が半分映ったっていうんですよね。 あれなんなんでしょうね?って言ってましたよね。

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