
中編
鳴き声
匿名 4日前
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先に言っておく、オチはないぞ。俺の話だからな。
お盆、俺は墓参りをする為、一人で車を走らせ、英彦山(宝珠山?)という名の山を通った。夏だから気持ちいいくらい晴れていた。
山を登ってる途中、奇妙な鳴き声が聞こえ始めた。盛りのついた猫とカエルの鳴き声を合わせたみたいな、何だか不気味な。文字にすると
「ぅ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あおぉうう…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あおおおおううう…」
と言った風。最初は珍しい鳴き声のカエルだと関心を持った。英彦山に行った事のある人はわかると思うのだが、あの辺りは田園が広がっていて、変わった鳴き声が聞こえてきても、きっと俺のようにカエルだと思う筈だ。最初は近いけれど、外から聞こえてきてるんだと思っていた。しかし、気味の悪い事にその音はどれだけ車を走らせても、一定の距離からほぼ同じ音量で聞こえてくる。っていうか、座席の後ろ、足元辺りからするっぽい…しかも、ずっと聞いてて気味が悪いと思い始めたら、カエルと言うよりは赤ん坊の鳴き声のようにも聞こえてきた。
俺は冷房を入れない派なので、開けっ放しにしていた窓を閉めた。これでも音が聞こえてくるなら…まあ、結論から言うと、鳴き声はしたよ。やはり座席の下辺りから。
俺は車を止め、座席の下辺りを探った。カエルなら逃してやろう。別のもんならそれはそれで問題だ。
しかし、座席の下には何もなく、怪談話特有の【確かめようとすると消える】という御約束、車を止めた辺りから鳴き声はしなくなっていた。
しかし、車を発進させるとまた鳴り出す音。何度か止めて確認したが結果は同じ。イライラしてきたのと怖くなってきた俺は、「ちくしょう!いい加減にしろ!」とか叫びながら車を走らせた。山の頂上付近で音はしなくなった。…いやいや、もしかしたら車の整備不良だったのでは?しかし、墓参りに行くにあたって、もう二つ程山を越えたのだが、そんな音はしなかった。
その帰り道、俺は怖いとは思いつつも、どうしても確かめたくて同じ道を選んだ。これであの音が聞こえてくるようならヤベェ。何しろ、今度は下り坂だ。整備不良もクソもない。俺に理解のできない何かだ。だが、しなければきっとたまたまそこで車の調子がおかしくなっていたのだと安心できるからだ。
先ほど、音がしなくなった辺りを越えた。音はしない。「ほっ」として車を走らせていたら…またあの音が聞こえ出したのだ。
しかも今度は夜だ。周りは暗い
後日談:
- 因みに、俺が頼りにしていた派出所っぽいもの。田舎にはよくあるらしい、地元消防団の詰所みたいなもんで、あれを頼ってたら誰もいない…って状況だったみたい。 出てくるのが鳴き声だけだから、読んでる方は怖く無いかもしれないけれど、俺は怖かったんだ…凄え気持ち悪い声でな、出来るものなら聞かせてやりたい。俺は二度とはごめんだが。 後、車には嫌われているようで、この後も大雨の日の夜、人を家に送ってる時に真っ暗いマンションを見たが、俺にマンションが見えてるそこには何もなくて、ただの崖だった(その前にガードレールがあって、切れ目を探したがなかったので落ちなかっただけ、「どこから入るんだ?ここ?」と聞いた所で判明)だとか、怪談話で俺自身も聞いたことのある、酔い潰れた人を乗せて家まで送ったら「ここはどちらに進むの?」「右」「ここは?」「右」とか言うからその通りに進んだらどう見ても廃村に行き着いたとか。オチは無いけど、怖い体験なら何度かしているから、機会があれば、そちらもそのうちしようかな。
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- 怖いボルケーノ
- うわぁ。1人だと怖いね。。のあ
- 怖い、、プロム