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長編

24歳の冬

ゆき 2020年8月4日
怖い 169
怖くない 158
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物には念が宿る。 種類は様々。 作った人の念、使っていた人の念、年数が長いものほど、その物にしかないストーリーがある。 ヨーロッパへ行き、自分で家具屋を周り、仕入れてきて日本で売る、必要であれば使いやすいように手直しもする アンティーク家具を扱っているので、たまに不思議な体験をする。怖い体験もする。 商品を自分で選ぶ際に気をつけることとして、オーナーから言われてることがある。 1.売れると思っても愛着が湧かなければ買うな 2.だからといって自分の好みだけで選ぶな 3.買ってはいけない物が世の中にはある 仕事を始めたばっかりの時はちゃんと理解ができていなかった。 とくに3番目、買い手がつかないような物を買ってくるなていうことかと思って質問したけど やってるうちに分かる、ていう返答。 1年くらい経った時に、分かる時が来た。 数えるほどしか無いけど、俺がガッツリ見た体験の1つ 正直な話し、その当時は調子に乗っていた。 買ってくる物がバンバン売れるし、自分はセンスがあるんだ!ってね オーナーの訳の分からない3ヶ条なんて気にせず俺は俺でやれば良いと思ってた。 イギリスで買付けをしてる時に面白い物を見つけた。 子供が余裕で入れそうな木の箱 木だけど濃い茶色の重厚な宝箱みたいなものを想像して貰えば、遠くないイメージ これは絶対売れると確信した。 店主に話して買うことに決め、店主もやけにニコニコ嬉しそうに応じてくれた。 思慮深さの欠如、物と店主の反応をもっとよく見るべきだった。 荷物が全て日本に着き、基本はカタログ用の写真を撮って店舗に並べる、もしくは倉庫に保管しておく。 今回1番気に入ってた木箱は、買い手が付いてないのと、部屋に置いたらかっこいいんじゃないかと思って自分の家に置いてみた。 その日の夜中、ドアが開くような音で目が覚めた。 目は覚めたが、恒例の時差ボケが治ったばかりで身体が悲鳴を上げていたので気にせず寝た。 次の日の朝、冷静に考える。 窓も開けてない、風は入ってこない。 築年数も新しいマンション、建て付けも悪くない。 なぜドアが開く音がするのか、そしてどこのドアも開いてないではないか。 おかしいとは思いつつ、いつもの 気にしない気にしない一休み一休み 一休さん精神で忘れた。 その日の夜中、また同じ音がした。 さすがに確かめた方がいいだろうと思い電気を付ける。 寝室は異常なし。 隣のリビングも寝る前と変わらず異常なし 洗面所お風呂トイレ異常なし 最後に玄関に近い商品をいくつか置いてる部屋を確認、異常あり 木箱の口が開いてるガバッと キィィィという音は勝手にドアだと思ってたが、たぶんこれだ。 時刻は丑三つ時 まずい物を買ってしまって、なおかつルンルンで家にまで入れてしまった、どうしよう あまり考えると怖くなるし、できれば触りたくない 勢いでフタを閉めて、被せるようにベンチプレスのベンチを置いて、その上にダンベルを置いた。 商品が傷ついてしまうとか、もはやどうでもいい。想像しうる1番怖いことは箱の中から何かが這い出てくること、それだけは阻止したい。 バタバタと積み重ねて、電気はつけたまま部屋を出て寝室まで急いだ。 リビングを横切る時に、大好きな60インチ大画面液晶TVがチラッと目に入る。 いた、女の人が立ってる、、、 反射的にパッとそっちを見る やはり居る、しかも顔すげー怖い完全に怒ってる 久しぶりにガッツリ見て、テンパって動けなくなった。 出てきたら怖いと思ってフタを閉めたが、フタが開いてる時点で外に出てる発想は、その時なかった。 やばい、やばい、やばい お経を心の中で唱えようと思ったが、最初の1フレーズくらいしか出てこない 近づいて来たらどうしようと考えながら動けずにいたが、女の人も動かない そのうち俺もパニックがおさまり身体が動きそうだったので、玄関にダッシュ 朝までコンビニで過ごした。 明るくなり意を決して家に入る。 特に変わったとこはない。 オーナーに電話を掛けて、事情を説明し家に来てもらう。 オーナーは俺の叔母である。 前回話したように母方の家系が霊感が強く バアちゃん程ではないが叔母もまずまず強い 良い勉強になっただろうと言われ 大きく頷く俺。 これがなんなのか、何で憑いているのかは分からないので買った店に聞いてみなさい。 ただ、女の人が怒っている理由は分かる。 あんたがフタを開かないようにしたからだ、と なるほどと思い昨日重ねたダンベル達を下ろした。よく考えてみれば初日に開く音がしたが、次の日には閉まっていた。それが昨晩開いたのだ。そのまま運び出して倉庫に持って行った。 時差があるので時間を見計らって店主に電話を掛けた。回答は この箱は何度も店に戻ってくる、買ったお客の話しによると夜中に1人でに開くのは日常茶飯事、女の人が床を這ってる所を見てしまった不運な人もいる、 日本人の君がニコニコして買って行ったので正直ラッキーだと思った、これでやっと手離れできると安心した、 ってさ この経験以降、商品選びはかなり慎重に冷静にするようになった。 それでも、ごくたまに変な物を買ってしまうこともあるけど。

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