
中編
夜道
匿名 3日前
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お婆さんが立っている。手拭いで隠れていて顔は見えなかったそうだ。
「あのぉ…どうしました?」
母は聞く。
「……」
お婆さんは何も言わない。
「お婆ちゃん誰さんって言うの?」
「小野瀬…」
この辺は小野瀬なんていくらでもある。どこの小野瀬さんか分かれば乗せていくのになぁ…っと思った母。
するとお婆さんが口を開いた。
「アンタ…明日この下の大きな道路には気を付けな」
それだけ言うとすぅーっと消えてったという。
何だったのだろう…今のは生きている人だったのだろうか…
次の日、母は高熱を出した。だが働かなければ養えないと言ってだるい体を起こして車を走らせた。
病院へ続く大きな道路を通ろうとした時、パトカーと救急車が見えた。
その道路は母の学生時代から事故や自殺が絶えず、こんな事はしょっちゅう。
【あー、また運ばれてくるのかなぁ…】
と思いながら病院に急いだ。
その日はたまたま早く仕事が終わり、夕方の6時頃帰ってきた。
次の瞬間、母はNHKのニュースを見てギョッとした。
「今日、朝の六時頃。海岸病院付近の〇〇町で72歳の小野瀬〇子さんが猛スピードで走ってきた軽自動車に轢かれ、亡くなりました。小野瀬さんは頭に手拭いを被り、エプロンをして散歩をしていた所に軽自動車が突っ込み、即死とのこと。」
母はばあちゃんに
「お母さん!この人!私が話したのこの人!」
するとばあちゃんは
「きっとアンタに知らせたかっただろうね。この人私の先輩で旦那さんにも先に逝かれて子供もいないし…寂しかったんだよ…」
その事故があってから母は職場を変え、隣町で精神科と看護師をやっています。
日勤の時と遅番の時はいつもそこにお婆さんが今でも立っているそうです。
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- 怖いけど、良い話しですね〜ボルケーノ
- 良い話ですねエンター
- 優しいお婆さんでしたね、ブルー