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中編

畏敬の念

匿名 3日前
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もない。静寂の中で心臓が打つ音と激しい呼吸の音だけです。 (この時、どういう心情だったのか動画を撮りましたが、今も見たくありません。) 汗だくのシャツにデニム、食料も水もありません。 行きがけに見た遭難者のビラ。1ヶ月ほど前に遭難した方でした。 いやでも自分を当てはめてしまいます。 圏外、静寂、身近にある遭難死の可能性。 ひとりで気が狂いそうでした。 やがて遠くに人がいると思って、ああ!あそこに人が!と、急勾配を必死に登っていきます。 近づくと、それは木から生えた枝でした。 経験したことのない恐ろしさに気が動転していたんです。 そして、無茶苦茶に登ってきたので道が余計わからなくなりました。 もう絶望して、この急斜面を滑って降りようかと思いました。本気で。 今思うとこれだけはしなくてよかったです。ああいう場所を滑り降りようとして怪我して動けなくなる遭難が多いんだそうです。 もう気力も体力もないですが、登りで見た熊出没注意という看板や、遭難者のビラが頭によぎり、死ぬより歩くぞと思ってとにかく歩き続けました。 道は分かりませんが、とにかく自分の感覚を頼りに下山を目指します。 やがて木に黄色のロープが見えて、これは森林作業員の紐だ!さっきまで一切人工物がなかったが、ここにはある!下山できている!という希望が。そこからは一気に降りて、やっと地上に。 行きがけにみた自動販売機の光が安堵の気持ちを押し上げます。あれは私にとって文明の象徴でした。 そして、帰りの終バスになんとか間に合います。 バスに乗ると人間がいるんです。当たり前ですよね。 でも、その安心感は凄まじいものがありました。 ひとり、静かに涙が出ました。 本当に恐ろしかったです。 自然はなんと無関心なんだろうと思いました。 自然は決して美しいだけではありません。 登山は必ず準備しましょう。低山ほど遭難事故が多いです。 遭難者のビラの方を想うとなんと心細く、無念だっただろうと思います。

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