
中編
畏敬の念
匿名 3日前
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京都に弾丸旅行しました。数年前の秋に、ひとりで。
行きたかった観光名所はだいたい回ってしまい、15時手前でプランを消化してしまいました。
時間が半端なので、近くになにかないかなーと探したら、バスで1時間ほどの山の中に大きな滝があると。
いいね、山歩きして滝でも見てすっきり帰ろうと軽い気持ちで山へ。
入山は16時前でした。今思うと本当にバカです。
せめて誰かに一言、「xx山にいまから行く〜」とラインすればよかったと、後になって後悔します。
高尾山みたいに観光地化してると思いきや、人はいないし、登り口は細い道がなんとなくあるだけなんですよね。
まあいいかと思い、いざ登りはじめると、行方不明者の顔写真付きのビラが何枚も貼られているんです。
え?こんな小さな山なのに?(900メートルぽっち。しかも山中の滝に行くだけ)と思いつつ、まあ自分は若いし体力もあるから、と思って進みます。
繰り返しますが、本当に愚かでした。
登ってしばらくは、空気はうまいし、美しい鳥のさえずりや川のせせらぎに癒されていました。
ところが、歩けど歩けど勾配はきつくなり、鳥や川の音は遠のいていきます。
案内標識の通り歩いてきたはずですが、電波はなく、地図もないので、気付くと自分の位置がわからなくなっていました。
周りは静かになり、自分の呼吸と胸の音ばかり聞こえてくるんです。
あれ?滝に続く標識をしばらくみてないな、と思ったらもう17時前。暗い。電波は圏外。
ちゃんとした道でもなく、ただの山中でしかないここはなんだ?
案内標識らしいものや人工的な物が一切ない。
ここはどこだ?
周りの山の頂が、なんでこんなに近づいているんだ?(だいぶ登ってきてしまった)
ここで、自分が遭難しかけていることに気付きます。行きがけに見た遭難者のビラが現実のものとなって身に迫ります。
こりゃ滝どころじゃないと思って引き返します。
しかし、かなり急な上りと下りが繰り返されるので降りているのか登っているのかわからないんです。
道も人ひとり立つのがやっとの細さで、急斜面と接しています。
それに、分岐がいくつもあるんです。登りはなんとなく突き進んできましたが、いくつもの分岐をどう曲ってきたのか覚えていません。
景色はどこも同じに見えます。
わかりますか?自分が降りているのか登っているのかわからない恐怖。
だいぶ上だからなのか鳥や川の音
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