
長編
僕とSさん
匿名 3日前
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。
恐怖で震えが止まりませんでした。
僕は次の仕事を最後に、辞めることを決意しました。
次に呼ばれたのは4日後、黒服の男からの電話でした。
その日トランクに積まれていたのはいつもと同じ小さめのボストンバッグで、ひとまず安堵しました。
仕事を終えて、黒服の男たちが車に乗り込もうとしたところを引き留め、辞意を伝えました。
「…お前の穴を連れてこい」
「はい?」
「お前が辞めるならお前の代わりを連れてこいと言っている。それがこのルールだ」
そう言って黒服の男たちは帰って行きました。
その時は、とにかく早急にやめたかった。そこで、友人知人に片端から連絡をとったところ、大学の同じサークルに属する後輩のBが誘いに乗りました。
Bはとにかく金に困っていて、そのうえボンクラな男だったので、正直にいうと第一候補でした。
僕はすぐさまBと合流し、二、三度共に働いた後、アルバイトを辞めました。思いのほか、すぐに辞められました。その後はBや、僕とBの共通の知人らと、一切の連絡を絶ちました。また、〇〇公園にも××公園にも、もちろん××山にも一切近付きませんでした。
それからは真面目に生きることを決め、何とか四年で大学を卒業しました。
新卒で入った会社は数年で辞めてしまったのですが、タクシードライバーに転職して、現在も続けています。
そして、これはほんの数か月前のことです。
某所で1組の親子連れを乗せました。
子供は小学校低学年くらいの男の子でした。父親の方は、50代と言っていました。肥満体型でほおの肉が厚く、禿頭でした。
「お客さん、お仕事何されてます?」
僕が唐突に私的な話を始めたので、父親は面食らったような顔をしていましたが、答えてくれました。
「え?あぁ、事務仕事をやっています」
「ずっとですか?」
「え、いやぁ、5年ほど前からですね。」
「そうなんですね。僕もです。新卒で入った会社辞めて、転職したんです。」
「へぇ、そうなんですね。」
「……」
「……」
「どうしてタクシー運転手に転職したかというとですね、大学の頃に変なものを運送するアルバイトをしてたんです。そのとき、運転が好きだと気付いたんです。特に、人と話しながら運転するのが好きで。とある人にそのアルバイトに誘われたわけですが、そのおかげで、好きなことに気づいたということですね」
その父親と、バックミラー越しに、一瞬
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