
長編
落ち武者のトンネル
匿名 2日前
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夏に男2人(A・B)女2人(C・私)の計4人で、地元にある落ち武者が逃げ込み隠れたという伝説のトンネルへ肝試しに行った時の話です。
そのトンネルは道幅が狭くて車など通れず、歩いてすれ違うのも肩が触れ合ってしまうほど。
壁は岩がむき出しで、150m程のトンネルを抜けると海に繋がっているのですが、断崖絶壁になっています。
柵はあるものの、何とも頼りなさげな作りなので心霊関係なしにも少し怖い場所です。
一応観光地なので昼間はそこそこ人が来るようですが、夜になると周りに民家があるわけでもなく外灯も少ないし、トンネル内にライトなど付いていないので真っ暗。
誰も近付きません…私たちのような肝試しに来るくらいしか。
肝試しを提案してきたのはAでした。
友達が例のトンネルで落ち武者を見た…と。
まあ、眉唾物と言うか、ぶっちゃけ「ないないないない」とは思いましたが、暇だし行ってみようかとなりました。
現場に着くと話通り真っ暗で、トンネルの先の出口がぼんやり見える程度。
一応明かりとしてちいさな懐中電灯を100均で2本購入しては来ましたが、何とも心許無く。
トンネル内は狭いので一列になって進まなければなりません。
先頭は言い出しっぺのA。
一応女子ってことでCと私が間に挟まり、しんがりはB。
Aが進行方向を照らし、Bが後ろから私たちの足元を照らす形で懐中電灯を持つことにしました。
中は肌寒くひんやりとした空気に身震いするほどで、波の音だけが微かに聞こえてきます。
壁や足元は濡れていて、天井からの落ちた水滴が顔にあたってはギャーギャーと騒ぎながら進みました。
半分ほどまで来た時、後ろのBが「うわっ」と叫んで転びました。
その声に驚いた私たちは「何!?やめてよ!」「ビビらすなよ!」と笑いつつも、心臓はバクバクしていました。
Bは立ち上がりながら今度は「あれ?」っと周りをキョロキョロし始めました。
濡れた足もとで滑ったのではなく、小石でも踏んだのかと「どうしたの?」と聞くと、濡れたズボンをパタパタ払いながら「今誰かとすれ違ったよな?」と言うのです。
もちろん誰ともすれ違ってなどいませんから、私たちは否定します。
すれ違うとなると肩が触れ合うほどの狭さなので、気が付か無いはずがないからです。
B「そんなはずねえよ!だって、肩がぶつかって俺こけたんだぜ?」
A「いや、誰ともすれ違ってないし。どんな奴とぶつかったんだよ。」
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