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中編
夜鳴きの廃団地
中編

夜鳴きの廃団地

2025年10月30日
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愛知県北部、山間にひっそりと佇む廃団地がある。

正式名称は「清風台住宅団地」。しかし地元では誰もそう呼ばず、「夜鳴き団地」と言う。

理由は単純だ。夜になると、誰もいないはずの団地から女の泣き声が聞こえるという。

俺がその団地を訪れたのは、大学のオカルト研究会の活動でだった。

心霊スポットを巡って記事を書くのが、半ば恒例行事のようになっていた。

メンバーは俺、写真担当の相沢、記録係の春日、それに怖がりの女子部員・美穂。

夜の八時に現地集合し、車で山道を登る。街灯はほとんどなく、舗装も割れている。

「ここだな」

カーナビの指示が終わると同時に、前方に灰色の塊が現れた。

五階建ての古びた団地が並び、窓はほとんど割れている。

周囲は雑草と錆びた手すりに覆われ、風が吹くたびにフェンスが鳴った。

俺たちは懐中電灯を手に、敷地に入った。

足元の砂利がザリ…と音を立てる。

中庭には朽ちた遊具、そして折れた街灯。

「うわ、ここ本当に人住んでたの?」と美穂が呟く。

春日が資料を見ながら答える。「昭和五十年代に建てられて、十年前に完全に廃墟化したらしいよ。ガス爆発があって、それから…人が戻らなくなったんだって。」

「ガス爆発?」

「ああ。原因は不明だけど、一棟丸ごと焼けたとか。死者は三人。その中に、赤ん坊を抱いた母親がいたらしい。」

相沢がカメラを構えた。「ま、ありがちな話だな。じゃ、撮るぞ。」

シャッターが切れる音が夜に響いた。

だが、その直後だった。

……ヒュゥゥ……と、風の音に混じって何かが聞こえた。

「今の、聞こえた?」美穂が声を潜める。

「風だろ」と相沢が笑ったが、俺の耳には確かに――

泣き声のように聞こえた。

「……ひっく、ひっく……」

遠く、棟の影から。まるで赤ん坊をあやす女のような声。

俺たちは顔を見合わせた。

春日が震える声で言った。「三号棟……今、そっちからだ。」

行くしかない、と相沢が前を歩く。

階段は半分崩れ、壁は煤で黒ずんでいる。

足を踏み入れるたび、コンクリートの欠片がカランと落ちた。

二階に上がった時、相沢の足が止まった。

廊下の奥に、影があった。

白い服――いや、ワンピースのようなものを着た女。

俯いて、動かない。髪が顔を覆っている。

「おい……冗談だろ」

懐中電灯を向けた瞬間、影がスッと消えた。

そこには誰もいない。

美穂が小さく悲鳴を上げ、俺の腕にしがみついた。

相沢は「……撮れなかった……」と呟く。

春日は「もう帰ろう」と言い出したが、相沢は聞かなかった。

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後日談:

  • 清風台団地は、現在も立入禁止のままだ。 市の記録では「老朽化による危険区域」とされているが、取り壊し工事は何度も中断している。 重機の故障、作業員の転落、そして――夜間の異音。 地元ではいまだに「夜鳴き団地」と呼ばれ、 夜になると、団地の奥から赤ん坊の泣き声がするという。 昨年、YouTuberがドローンで上空から撮影した映像が話題になった。 三号棟の窓に、一瞬、白い影が映り込んでいる。 まるで赤ん坊を抱いた女が、 「まだここにいる」とでも言うように
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はじめまして、よろしくお願いします。

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