
今はなき母校での思い出を。
私が通っていた小学校は、全校生徒50人にも満たないど田舎の学校でした。
そのおかげか学年関係なく、生徒同士とても仲良く交流していました。
6年生の初夏。
上級生と下級生がペアを組み、グラウンドに出て学校風景を描く、恒例行事の写生大会がありました。
私は1年生のすみれちゃんとペアを組むことになり、どこで写生したいか聞くと、即答で「保健室の窓」と返ってきました。
殆どの生徒は花壇の花や遊具を描くので、本当にそこでいいのか尋ねると、すみれちゃんは「見てほしいから」と言い終えてすぐに保健室が見える場所まで走っていきました。
変わってるなと思いつつ、すみれちゃんの横並びになるように座り、写生を始めました。
描き始めて10分ほど経った頃でしょうか。
すみれちゃんが動かす鉛筆の音が次第に大きくなっていき、トントンと画板を打ち付けるような音が聞こえたので、気になってすみれちゃんの絵を覗きました。
全身鳥肌が立ちました。
大きく描かれた掃き出し窓の中心に、髪が床まで伸びた人物が描かれており、その人物の腕にひたすら赤鉛筆を打ち付けていたのです。
まるで腕に大量の湿疹ができているかのように描かれていたそれは、こちらを見つめているように感じました。
もちろん、私も同じ風景を描いていますし、そのような人物はいませんでした。
恐る恐る誰を描いているのか聞くと、すみれちゃんは「ずっといる人」と言うのです。
そんな人いないよと言いましたが、すみれちゃんはじっと窓を見続けたまま無言で描いていました。
そのまま写生大会は終わり、翌日生徒たちの絵が学年ごとの廊下に飾られていました。
すみれちゃんの絵も他作品と同じように貼り出されていましたが、特に誰も気に留めていないようでした。
それから数週間後、私は軽い熱中症になってしまい、保健室のベッドで親の迎えを一人で待っていました。
ガンガンと痛む頭を持ち上げながら、水分を摂ろうと水筒に手を伸ばした時、あの時写生した窓が視界に入りました。
人が立っていました。
あれ?誰もいなかったはずなのに…と思ったと同時に、あの絵を思い出しました。
床まで伸びた髪、ノースリーブの灰色のワンピース。
そのままの姿がそこにありました。
私は固まってしまい、その存在を見つめていました。
そして導かれるように、その人の腕に視線を移しました。
大量の赤い斑点。
すみれちゃんが描いていた人物は、今目の前にいるこの人なんだと確信し、恐怖しました。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



