
中編
核弾頭はどこへいった
しもやん 3日前
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ないよう抑制していたのである。
だがもし超国家的な犯罪組織――要するにテロリストのことだが、彼らが旧共産圏から流出した可能性のある大量破壊兵器を手に入れたとしたらどうだろう。滅ぼされて困る国家がない敵ほど厄介な相手はいない。彼らはどこにでも潜伏し、小規模だが神出鬼没なゲリラ戦法で戦闘を長引かせ、ハーグ条約を完全に無視する。
そして帰属している国家がないならば、後先考えずに核攻撃をやらかすことさえいとわないだろう。核攻撃はなにも国家しか保有できないような大型の大陸弾道弾だけが発射体になるわけではない。歩兵が運用できるバズーカ砲で発射できるし(当の本人は確実に死ぬだろうが)、無誘導でよいなら航空機から投下することだってできる。アタッシェケースに入った中性子爆弾が都市部で爆発し、高速中性子に撃ち抜かれて住民が全滅した無傷の――ただし無人の――都市ができあがる可能性もある。
われわれはニュースで目にするシリアの戦闘やパレスチナの終わりなき報復合戦を見て、いつも心を痛めている。同情は自分たちが蚊帳の外だと思っているからこそできる。だが事実はまったくちがう。
核は解き放たれた。全世界の住民が蚊帳のなかにいるのだ。
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- つまり、全地球上生物滅亡カウントダウンですね。みんな平等に死が訪れるなら悲しむことはないたか