
中編
渡り廊下のゆり子さん
匿名 2017年8月30日
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こんにちは。今回も作り話を話していきたいと思います。それでは、どうぞ。
私の名前は、渡辺サラ。
小学五年生。
一週間前に、京都からこの学校に転校してきたばかりなの。
「千葉県の学校って、校舎がみんな同じ形ね」
そんな事言って、みんなからちょっと嫌な顔された。
だって本当にそう感じたもん。
この前まで私の通っていた学校は、クリーム色の壁にライトグリーンの屋根。
玄関までには、丸い噴水池があったりして、何となく高原のホテルみたいな感じだった。だけど引っ越して来たこのあたりの学校はどこも真四角で、みんな同じような形をしている。
けれどその事を口にすると、みんなから浮いてしまいそうなので、もう言わないことにした。それはいいとしても、校舎から体育館につながる長い長い渡り廊下にはまいっちゃう。この前なんか、横なぐりの雨が降っていたから、体育館に行くだけでビショビショになっちゃったんだから。
私は転校して来てすぐに、ミニバスケ部に入部した。こう見えても、前の学校では、副キャプテンだったのよ。
「サラ、先に帰ってるよ。あたし、ピアノがあるから」
「あっ、ちょっと待ってよ、美優!」
美優とは、転校して来てすぐに友達になった。ミニバスケに誘ってくれたのも美優。私は体育館から飛び出して、美優を追いかけた。けれども美優は走って帰って言った。そういえば、ピアノの発表会がもうすぐって言ってたっけ。
「あっ、いけない!」
私はフッと、とんでもないことに気がついた。体育館の中に、給食かっぽう着をおきっぱなしにしてきちゃった。今日は金曜日。家で洗濯をして、来週の給食当番に渡さなくちゃいけないんだ。急いで体育館に戻る。けれど、すでに入り口の鍵がかかっていた。気の早い先生が閉めちゃったらしい。
「困ったな。職員室でわけを話して、体育館の鍵を借りてこなくちゃ」
私はすぐにそれを実行した。校舎の中から体育館に行くには、あの長い渡り廊下を通って行かなくちゃならない。その渡り廊下をせかせかと歩く。
「ん?」
人の気配に、思わず後ろを振り向いた。
「おかしいな。確かに今、後ろで足音がしたんだけど」
だけど誰もいない。
「気のせいか・・・・」
再び歩き出す。するとまた、背中でパタパタと軽い足音が・・・・。
「やだ、なに?」
私は走って体育館のドアにたどり着く。ガチャガチャと音を立てて鍵を回した。けれど、なぜか開かない。
「何、この鍵。壊れてるんじゃないの?」【手伝おうか・・・・?】
突然頭の後ろで声がした。私は振り向くことができなかった。体中が金縛りにあったようになり、ガタガタと細かく震えている。そして私の肩口からニュッと細い手が伸びてきて、そっと鍵に触れた。
《カチャッ》
軽い音がしてあっさり鍵が開いた。私は一度も後ろを降り向かず、壁際に起き忘れた白いかっぽう着を手にした。だけどここから出るためには、もう一度あのドアから出なくてはならない。渡り廊下を通らなくてはならないの。
「ええいっ!行くっきゃない!」
私は出来るだけ顔を上げないようにして、ドアに向かった。そして外からその鉄製の重いドアを閉める。
【手伝ってあげるね】
またあの声だ。私の背中からまたも細い手が伸び、ドアをガチャンと閉めた。
あの、細い手は、なんだったんでしょうか?そして、なんで私を助けてくれたのでしょうか?未だにその謎は分かりません。
次の日
私は、図書館で怖い本を借りた。
私は、怖い本は大好きなんだけど、現実で起こる怖いやつは、苦手〜。私は、家に帰って本を読む。私は、あることに気づいた。本には、こう書いてあった。
【渡り廊下のゆり子さん】
渡り廊下のゆり子さんというのは、渡り廊下に出るもの。いつも人間を手伝ってくれる優しい、幽霊。
と、書いてあった。待てよ?昨日出たのは、渡り廊下のゆり子さんだったの?
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