屋のドアが開く音がして、俺は戦々恐々として目を開けた。 するとさっきの男がすぐ横に立っていた。 すぐ横に立った男が無言で俺を見下ろしていた。 俺は恐ろしさのあまり卒倒しそうになったが、そのタイミングで部屋の襖が開き、スキーから戻ったクラスメートたちが部屋に入ってきた。 「あ。。。あ・・・・・・・あ。。。」 声にならない声を出す俺を不思議そうに見たクラスメートたちは、「お前、まだ熱あんの？大丈夫？」と声をかけてくれたが、誰もスキーウェアを着た大男の存在には触れもしなかったし、ふと気づけばそこに立っていたはずの大男は、姿かたちもなくなっていた。 この話をクラスメートたちにしたところ、連中は面白がり、ホテルの人にこの話を伝えた。 するとホテルの従業員は、「ああ、たまにスキーウェアを着た男の人が部屋に来たと言われるお客様、いらっしゃるんですよ」と答えたのだという。 それが何者なのかは、誰にも分らないのだそうだ。