
中編
赤犬殺し
匿名 2019年5月7日
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金縛り 始まりの切っ掛け 終わりの切っ掛け
の詳細と後日談。愛犬家の人は読まない事をオススメします。
母の叔父さんの、しぃおいちゃん
お祭りが大好きで浴衣を着て、ギターとお酒を片手に夜遅くまで町をブラブラしていた。
当時の祖父はお酒が飲めなかった為、しぃおいちゃんと飲む事は無かったが、ギターは好きだった。
そんなしぃおいちゃんを疎ましく思う人が居た。
母も名前は覚えていないが、祖父から赤犬殺しと聞かされたらしい。
昔の人は、赤犬は美味しいと言っていたそうで、何日かに一度は、その赤犬殺しの家から犬の痛がる声が聞こえたそうなので、いつの間にか周りからそう呼ばれるようになった。
その赤犬殺しは、皆から好かれるしぃおいちゃんが嫌いだった。
ギターを弾き、お酒を飲み、周りには老若男女の人が常に居た。
当時は戦争が終わったばかりでギターが物珍しかったのもあったのだろう。
そんな時、しぃおいちゃんが水死体で上がった。
祖父と母は身元確認へ行った。
その帰り、幼い母に祖父はこう言った。
誰が犯人か分かっている。
だけど、それを警察や周りに喋ると、父ちゃん(祖父)の身が危ないからな・・・
と。母は幼いながらにも、これは言っちゃいけない話だ!
と思ったそうです。
後日から葬儀などで3日間は忙しく(昔は葬儀屋もなく、食事や準備は近所の人や身内が行ってた)そんな事は忘れてしまった。
それから数週間たったある日、赤犬殺しが居なくなった。
唯一身内の赤犬殺しの姉が訪ねてきた。
姉は遠方に嫁いで居て、数日泊まりに帰ったところ、姉が家に帰るまでずっと戻ってこなかったのだ。
警察に届けを出し、旦那に連絡を入れ3日残る事にした。
1日が過ぎ、2日が過ぎ・・・
3日目の夜、姉は帰り支度をしていたが、弟が心配で手が進まなかった。
そんな時、何処かで何か聞こえた。
ギギッ ギギッ
微かに聞こえるその音はどうやら裏の倉庫から聞こえる、
裏の倉庫へ行ってみた姉は、やっと弟を見つける事が出来た。
だが、弟は口から泡を吹き、ガクガクと痙攣していた。
それを見た姉は、祖父の家に駆け込んで来た。
私も最近知ったのだが、祖父の母、私の曾祖母は拝み屋をやってたらしい。
と言うのも家では一切普通のお婆さんで、それらしき事はしていなかった。儀式?などをする時は2軒隣にあるお寺でやってたらしいのです。
曾祖母は急いでお寺へ行き、和尚さんと共に赤犬殺しの家へ向かい、その間に祖父は警察へ走った。
母はこっそり曾祖母の後を着いて行った。
母は倉庫の外で隠れて曾祖母の話を聞いた。
これはもう手遅れだ。殺し過ぎた。
犬だけじゃねえ、人間も殺しとる。
誰とは言わんが、ワシの知ってるのも居る。
見てみろ、血も出ない程身体中噛み跡だらけじゃ。
そう簡単には楽にさせてはくれんのだろ、何百匹もの怨念受けちょる。
その言葉に母は覗いた。
噛み跡の周りが真白く血を止めた時のようになっていた。そう、しぃおいちゃんが水死体で発見された時のように・・・
母はそう思った途端、怖くてその場に居れなくなった。
あの優しかったしぃおいちゃんが!
気付くと家に駆け込んで布団にくるまっていた。
その後の話し、曾祖母は姉に御札を持たせた。姉と子供の分を。
それは赤犬と同じ血を持つ者だからだ。
殺された犬は本人を殺した所で満足するとは限らない。
供養を忘れるな。
畜生ほど満足を知らんからな。
母は恐ろしくなった。
今までとは違う曾祖母とあの赤犬殺し。
そして、しぃおいちゃん
それからは大人しくなったと母は言っていました。(そうは思えないが)
その後、赤犬殺しの姉はどうなったのか分からないと言う。
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