ここは、路上生活者の溢れるスラム街。 治安は最悪で、スリ、置き引き、喧嘩などは日常茶飯事だった。 そんな街の一角には飲食店の並ぶ場所があり、ここは街の外からの一般客も来る店が立ち並んでいた。 そのなかでも、ラーメン屋が特に評判だった。 どこの店にもない独特な味のスープは、ラーメン通も絶賛する味だった。 どうやったらこんなにうまいスープが作れるのか。 店は店主が一人で経営していて、仕込みの様子は誰も見たことがなかった。 店主の口は固く、大金を持ちかけられても頑なに口を割らなかった。 ラーメンのスープは一体どこから？ そんななか、一つの噂が流れてきた。 あの店は、人の死体からスープをとっているのではないかと。 誰も分からない謎の味や風味は、まさか・・ そんななか、ある日のこと。 その話を路上生活者たちがしているとき、 一人の男が、 「ああ。あの店のラーメンのだしは人肉な訳ないよ。だって違うし。」 その場にいる人たちは笑いながら、 やっぱり！安心した！ と思った直後、男の言葉の意味に気づいてしまった。