
このお話は私が幼い頃に体験したお話です。
私の家の裏には坂道があり、其処を登ると神様を奉る木造の一軒家のような建物があります。
近所に住む友人の家で管理をしているようで、幼い頃に友達と建物の中に入りました。
大きな神棚にお菓子が供えてあったので、食べていた飴を供えた記憶があります。
子供ながらに何か…神聖な雰囲気を感じていました。
そんなある日の事です。
坂道で兄弟五人で遊んでいました。
すると、その木造のお社の破れてしまった場所から青大将が出てきました。
かなり大きな青大将です。
事もあろうにやんちゃ盛りの兄と弟達は蛇を棒で叩き殺してしまいました。
「お兄ちゃん、駄目だよ‼蛇さん可哀想だよ‼蛇さん何も悪いことはしていないんだよ‼」
と、泣きながら止める私の言葉も兄は聞いてはくれません。
「馬鹿‼蛇は毒持っていたら死ぬんだぞ‼危ないからあっち行け‼」
…とうとう、兄は蛇さんを殺めてしまいました。
兄と弟は気が付いていなかった。
その蛇さんは目が真っ赤だったことと…殺めた兄達を睨んでいたことに。
普通の蛇はあんな眼の色はしていませんでしたし、見かけませんでした。
蛇さんの目が真っ赤な事に気が付いたのは私だけで、兄達は気付いていなかったのは不思議でした。
家に帰り、お昼ご飯を食べて祖母とお昼寝をしていました。
その時、不思議な夢を見たのです。
真っ白い着物を着て真っ赤な瞳をした綺麗な男の人がいました。
「そなたは助けてやろう。懸命に止めてくれたな。兄や弟は戒めだ。」
…と、私に告げました。
夕方、目を覚ますと祖父母が慌てていました。
兄達が全身に赤い蕁麻疹が出て高い熱を出していました。
そのまま病院へ兄達は運び込まれましたが、原因は不明だったそうです。
私は怖くなり、両親や祖父母に兄達が昼間に蛇さんを殺めた事を話しました。
「そっか。教えてくれて有り難うね。栞も怖かったね。大丈夫、明日蛇さんのお墓を作ろうね。」
「蛇はむやみやたらに虐めてはいけないんだよ。神様の御使いでもあるんだよ。」
祖父と父がそう教えてくれました。
その日の夜にまた男の人が出てきました。
「助けられなくてごめんなさい。お兄ちゃん達が酷いことをしてごめんなさい。でも…大好きなお兄ちゃん達だから連れていかないで。」
「仕方無い。そなたに免じて許そう。優しい娘だな。兄弟と仲良くな。無闇な殺生はするなと伝えておきなさい。」
優しく笑い頭を撫でてくれました。
次の日に母と祖父と一緒に蛇さんのお墓を作りました。
後日談:
- 長々とすみません。 読んで下さり有り難うございます。 一寸の虫にも五分の魂と言うことわざがあります。 曾祖父は中々素晴らしいことを祖母に伝えておいてくれたようで、祖母は私に沢山の大切な事を教えてくれます。 先人達は素晴らしいことを教えてくれます。 本来なら兄達は命を落としてしまっても仕方のない事を仕出かしたのかも知れませんが、蛇さんは優しい方だったので見逃してくれたのかも知れませんが、そんな優しい蛇さんだからこそ未だに辛いです。 蛇さんの亡骸を埋めた場所を通るときは手を合わせています。
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