
中編
危ない怪談師
匿名 2024年10月4日
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以前、「危ない怪談朗読師」というヒトコワの怪談師に関する話を投稿された方がいたが、今回のは「朗読」が付かない怪談師。いや、飲食付きの怪談を店で行っているから正確には「ダイニング怪談師」か。
因みに「怪談朗読師」というのも怪談師に含まれるが、文章化された創作怪談や実話怪談を朗読するスタイルの怪談師のこと。一般の怪談師は台本的なものは持たず、頭の中にある各種怪談を話す。
これはある怪談ライブで聞いた話で、この話は他でしてもいい、ということだから述べる。
高知県の嶺北地域のT町に何年か前、自称「元僧侶」でラーメン店の経営経験のあるMという男が移住してきた。そしてチャレンジ・ショップのような形態でラーメン店を始めた。
僧侶時代の写真も公開されていたが、その男の師匠的な者は拝み屋か何かで、在来宗教というより、民間宗教、新興宗教のようなもの。だからその教えを乞うたMも宗教観は普通の在来宗教とは異なる部分があるように感じられる。
Mは大阪生まれで、これまで各地を転々としていて、T町にも長くは留まらず、県の西部、小京都的なS市に転居し、廃業した洋服店を改装してラーメン店を開業した。
ここでMは交流していた県都K市のラーメン店Gの店主の勧めで、ラーメンやその他飲食を提供しながら怪談を行う怪談会を定期開催するようになる。S市内の他の喫茶店やラーメン店G、県都の大型複合書店で同様のスタイルの怪談会を行うこともあった。
Mの表面的な人柄はいつも笑顔で朗らかな印象だが、裏の顔を知ると誰もがゾッとする。
例えば、怪談会での休憩中、一人の客が「Mさんがこの何ヶ月か、怪談会を休む、ということだから、怪談をしばらく聞けなくて残念やわぁ。」と言い、それに対して他の客が「だったら〇〇市で怪談ライブを2ヶ月に1回位、やっているから、ここの店主が休んでいる間は、そちらに行ってみるといいですよ。」と言った時。
次に怪談会をMが開催時、その怪談ライブの話をした客が予約して行くと、その者の席の前に大きな張り紙がしてあり、「今度、他の客へ迷惑な行為を行うと、強制的に店から追い出します。」とのこと。この客は最初、何のことを言っているのか、さっぱり分からなかったという。
また今度は、怪談会での休憩時、Mと客が話していて、その客が心霊観や宗教観等、Mとは違う考えの見解を言い、それを他の客が聞いていた場合も、その宗教観の異なる客が次に怪談会に行った時、同様に張り紙がしてあり、「当店に対する迷惑行為を行った場合、強制的に店から出て行って貰います。」と記されていたらしい。
更にMが話した心霊スポット(室戸市の三津坂トンネル等)のことを客がネットに挙げた場合も次に行った時「当店に対する迷惑行為云々」の張り紙が。但し、その心霊スポットはMが怪談会で話す以前から、他の者により、YouTube等にアップされていたもの。
その件についてMは怪談の冒頭で触れ、心霊スポットの具体的な場所や名称をネットに挙げられると、自分のことを信頼してくれて、その怪談を話してくれた人に悪い。ネットに拡散されるようになれば、もうその人は自分に体験談等を話してくれなくなる、と話していたとのこと。
しかしこれには矛盾がある。Mはこれまで何回もその心霊スポットの名称や場所を不特定多数の客に話している。その話を聞いた客が他の者に話すことも十分考えられるから、これも拡散行為になる。
しかし逐一、Mは自店や自分に対することについて、休憩時間やその他、店内での客の会話を監視しているようにも感じられる。恰も小型盗撮カメラでも仕掛けているように。
どう考えてもMの発想と行動は異常。このような人間なら盗撮器を仕掛け兼ねない。
このことを、犯罪心理学を学んだことのある友人にすると、そのような鬱屈したどす黒い感情を持つ者は、性欲も異常に高い傾向にある。だから、店内に盗撮カメラを仕掛ける場合、客の顔と会話を確認する以外に、例えばテーブルの下にも仕掛けて、女性客のスカートの中を狙うことも十分考えられる、とのこと。
現在、Mはまた転居し、県都で同様にラーメン店を営んでいるが、一体、どういう思いと目的で、元僧侶の「ふり」をして、ダイニング怪談会を行っているのだろうか。それとも別の怪しい目的でもあるのだろうか。
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