
長編
ウサギ穴
匿名 6日前
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小学校の頃。僕の通っていた学校の裏には小さな山があって、みんなからは普通に裏山と呼ばれていた。
小学校は三階建てだったのだけれど、裏山はその小学校の二倍程度の高さしか無かった。学校側から裏山を上って反対側に降りると、細い県道に出る。
学校の規則で、裏山には、休み時間は上っちゃいけなかった。それでも僕は友達と一緒によく裏山に上った。大体昼休みに。
まばらに木が生えてるだけの何も無い山だったけど。子どもにとっては十分な遊び場だった。それで良く先生に叱られた。「ごめんなさい。もう裏山には行きません」って100回は言った気がする。
今からするのは、そんな裏山の話だ。
さっきはまばらに生えた木以外は何も無い山だ、って言ったけど。実はあった。一つ。子供心をくすぐる様なモノが。僕と友達数人がみつけたのだ。僕らはそれを『ウサギ穴』と名付けた。
三階の廊下の窓から見える裏山の斜面に、穴はあった。勢いを付けて、斜面を駆け降りると言う遊びをやっていた時のことだ。
友達の一人が何かに躓いて、転がった。だいぶ転がった。膝から血が出てたけど、田舎だったから、そんくらい唾付けときゃ直るということで。僕らは別のことに興味をひかれていた。
友達は、穴に躓いたのだった。斜面の一部が草ごとえぐれていて。おそらく友達が踏み抜いたのだろう。その部分から穴が露出していた。縦穴じゃなくて、横穴。今までは草と土に隠れて見えなかったらしい。
穴は小さくて、人は絶対入れない。でもウサギなら入れそうだと言うことで、決まった名前が『ウサギ穴』屈みこんで覗いてみると、中は真っ暗だった。まっすぐ伸びている様に見えたけど、いかんせん暗過ぎて良く分からなかった。
その穴はそれからしばらくの間。好奇心旺盛な子供たちの心をとらえて離さなかった。
まず、「何がこの中にいるのか」という話になった。モグラという意見と、ヘビだという意見と、やっぱりウサギだという意見に分かれた。
僕はウサギ派だった。山に住むじじいから、ウサギはこんな巣を掘ると聞かされていたから。
「ウサギの巣なら、出口は一つじゃない。もっとあるはずだ」と僕が言ったことがきっかけで、僕らは裏山を、他の穴は無いかと探し始めた。その日は、探している内に昼休みが終わってしまい、結局見つけることは出来なかった。
別の穴が見つかったのは、それから三日くらい後のことだった。
丁度学校とは反対の、県道側の斜
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