
中編
臨死体験
やま 3日前
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姉は後ろ髪を引かれる思いで元来た道を歩き始めた。
その先に、俺と父さんが立っているのが見えた。
「…で、目が覚めたら病院にいたの」
姉はそう言うと、とうとう元通りにはならなかった脚をさすった。
戻って来てよかった、あの時船に乗っていたら、こんな後遺症程度じゃ済まなかったかもしれないとの事だった。
臨死体験というのは死に際に脳が見せる幸せな幻覚の一種だと言われている。
走馬灯なんかもそのひとつだ。
姉が見たのもおそらく幻覚の一種なんだろう。
ただ、姉には言わなかったが、姉の意識が戻っていなかった時、とある親戚が
「もうこれ○ちゃん(姉)に渡して楽にしてやった方が…」
と、父さんに変なお年玉袋みたいなものを渡しているのを見た。
それを受け取った父さんが、ものすごく寂しそうな顔をしていたことだけは覚えている。
当時は気にしていなかったけど、あの袋の中身はもしかしたら"船の運賃"だったんじゃないかと…
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- これ実話ですか? すごく興味深い話、、宮崎文夫