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長編

旅館の掛け軸

じやい 2018年8月19日
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これは今から、17年位前のお話です。 これは私が職場の親しい友人5人と旅行した時の経験談です。 時期は、猛暑続きのお盆の頃でした。 私の実家は福島県なのですが、友人は皆、東京育ちの子ばかり。 「旅行するなら田舎に行きたい。」という理由から、私の実家の福島県に行くことになったのです。 友人は皆、心霊スポットが好きな子ばかりで、福島県の心霊スポットに興味津々でした。私は全国的に有名な福島県の心霊スポットは大体、学生の頃には把握していましたが、やはり余りお薦め出来ないと思っていました。 ですが、宿泊場所は福島県猪苗代湖の近くの旅館を友人のAが勝手に決め予約したのでした。 その時は「俺の実家で良いじゃん!」と思いました。 旅行当日は、東京人でも知る心霊スポットに行けると、皆が浮き足立っていました。東北新幹線に乗り、JR郡山駅に着き水郡線で猪苗代駅迄乗車。そして、到着。 駅には旅館の若旦那が、送迎で待っていてくれました。 そして、旅館に着き全員で6人なので、3:3で部屋割りをし、それぞれ部屋へ行きました。 部屋からの展望は、木々に囲まれ奥に猪苗代湖が見える感じでした。 みんな、荷物を置き早々に露天風呂へ向かいました。大きな露天風呂で、景色ま最高でした。日頃の疲れぶっ飛ぶ位に癒されました。 各自部屋に戻り、ホッと一息したところで、若女将が挨拶に来たので、世間話をし談笑していたとき、私の部屋の寝室から「カタ カタンカタン」と音がしました。ふと目を向けると不思議な掛け軸があったのです。 女将曰く「創業当時からある、見返り美人の掛け軸で代々、大事にされてきた物です。」とのこと。 フツーは、風景画や動物画だったりすると思うけど何で人なんだと、引っかかりを覚えました。 隣の友人の部屋の掛け軸も人の掛け軸でした。 今思えば、疑うべき要素満点でした。 私達の他に、宿泊人ま居なかったのです。 友人達は、もう好奇心丸出しの状態でした。 ただ、掛け軸に関して、それ以上の話を若女将は話さず、部屋を後にされました。 時間は、夕時で夕食の為に宴会場まで行くことになり、そこで約2時間半位、何気ない談笑して夕食は終了しました。時間はまだ、夜8時位です。 若旦那から「旅館の周りには何も無いが、車で20分位下ると旅館街がある」と言われ、車で連れて行ってもらう事になりました。 ゲーセンだったり、スナック、お食事処も幾つか点在していました。 ある程度、満喫して旅館へ戻った時は、深夜0時を回っていました。 友人みんな、各部屋に戻ると日頃の疲れもあったのか、直ぐに寝床に着いたようでした。私も直ぐに夢の中でした。 時間は深夜3時を回った頃だと思います。 寝苦しいような暑苦しいような、何ともいえない感じで目が覚めました。 すると、隣の部屋で何やら会話をしているような声が「ボソボソ」と聞こえて来るのです。また、何かを「ササ サササ」と引きずる音も。 「こんな時間に何やってんだか。」そう思っていたら、隣の友人の部屋の入り口が開く音がしました。誰か私達の部屋にイタズラに来るなと思い、仰向けになり目を閉じ誰が来るのか楽しみにしていました。 案の定「ササ サササ。うぅぅぅ~~」と来たのです。私達3人は川の字に並んで寝ていました。私が見返り美人の掛け軸の手前の布団で、一番奥でした。 薄目で横見した瞬間に、身体中に悪寒と冷気が走りました。 白い着物姿で、黒い長髪が乱れた女性が入って来たのです。それは、何かを探すように居間に近い友人の枕元に前屈みになり、睨み付けるように友人の顔を覗き込んでいるようでした。 そして「違う。ちがぁ~う。なんでぇ~。」とはっきり聞こえました。 そして、私の隣の友人の番となりました。その時、私は隣の友人が金縛りにあっていることを知りました。 それは、友人の手や脚の先だけがグリグリ動いているのが分かったからです。目も開いていたと思います。また、同じようなセリフが「違う。違う。ちがぁ~~~う。なんでなのよぉ~~。」低い女性の声でした。 それは、私のほうにも来たのです。すると、「似てるぅ~~~。マサヒコさん。ずぅ~~っと探してた。私を置いて、何処に行ったのぉぉ~~。」とさっきまでとは、全く雰囲気が違う感じでした。 恐らく、誰かと勘違いされたのだと分かりました。その得体のしれない物と目が合った瞬間に私は目の前が真っ白になって、そのまま気を失ったのでした。 「おい、おい、起きろ!!起きろって。」同室の友人の声で目が覚めました。 頭が重かったのですが、ゆっくり起き上がり時計を見たら午前8時頃でした。隣の部屋の友人も私の周りに座って、心配そうに見守られていました。 どうも同時間帯に、6人同時に同じ夢?幽霊?を見るという経験をしていたようです。 みんな「違う。ちがぁ~~う。マサヒコさん。」誰かを探している感じだったと言う。 女性の顔は、目が血走り真っ青で蒼白い血管が浮き出ていたそうです。 また私の隣にある掛け軸は、何故か伏せるように下に落ちていたのです。 ことを知った若女将は、大女将と一緒に私の部屋にやって来ました。そして、話を始めたのです。 大女将 「昭和初期、この旅館はお忍び宿として有名で、不倫関係にある方や同性愛者(男性同士)の方などにひいきにしてもらっていた旅館でした。 その頃、不倫の末に無理心中をした男女がおり、男性は助かり 女性だけが亡くなるという悲惨な事件がこの部屋であった。 その時、見返り美人の掛け軸もそのまま、この部屋に掛かっていました。 この事件以降、お客様のような経験をされる方があとを絶たず、一度は蔵へ閉まった。 そうすると、毎年夏に同室に宿泊する男女のカップルが怪我をする事件が続出した。 掛け軸の祟りなのかもしれないと、有名なお祓い屋のとこで、1週間かけて護魔焚きをして供養もして、事件もおさまったので、また部屋にかけ始めました。 永年、おさまっていたのにまた、十年位前から起き始めた。その間は、この部屋を開かずの間としていたが、他の部屋の修繕などがあり、泣く泣くこの部屋を綺麗にしてまた、使い始めました。 恐らくは、未だに無理心中で若くして亡くなった女性の霊が、掛け軸に乗り移り、その不倫相手を夜な夜な捜し続けているのではないかと思います。あなたは、たまたまその相手に似ていたのかも知れません。 怖い思いをさせて、本当にすみませんでした。因みに、今の掛け軸の美人の顔はとても穏やかになった気がします。やっと、自分がこの世の物ではないこと、二度と相手に会うことが出来ないことを知ったのかもしれませんね。 これで当分の間は、お客様のような経験をする方は居なくなりますね。良かった、良かった。 次に出るのは、私が死んで若女将が大女将になった頃かもしれませんね。ハハハ。」 若女将「止めて下さいよ。縁起でもない。対処方法もまだ伺った事がないのに。」 大女将「貴方が似ていると言われたそうですが、貴方を守っている守護霊様がこの女性を諭したのかもしれないですね。 フツーは、取り憑かれたら正気じゃいれないですからね。あなたには、取り憑いてないから安心して下さい。良い経験をされましたね。」 そういうと、大女将は部屋を後にしました。 若女将も安堵していたようでした。 若女将「同じ経験をされた方は、後々に湖で事故による大怪我をされる方も居たようです。 でも、皆さんは他の方達と何か違う感じがするので、大丈夫ですよ。」っと笑って、部屋を後にされました。 友人はみんな、怖い思いをしたが本当の心霊現象を体験したと喜んでいました。 そのあと、私達は同じ部屋で残り2泊、楽しく猪苗代湖畔と心霊スポットを沢山、堪能して旅館を後にしました。今でも、お料理が美味しかったのを覚えています。 長くなりましたが、これが私の不思議な経験です。この旅館は今もあるのかは、分かりません。なぜなら、東日本大震災後、どうなったのか分からないからです。 また、この時のメンバー誰一人、欠ける事なく今も健在です。

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