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長編

私の足にまとわりつく影

みんみん 3週間前
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初めての投稿なのでおかしい所があるかも知れませんがご了承ください。 10年前に私自身が経験した実話です。 AIで文書を読みやすくしてもらっています。 高校を卒業する季節だった。 周りが次々と免許を取り始め、夜はよくドライブに出かけていた。 三年の終わりで登校もなく、バイトと遊びで毎日が過ぎていく、そんな頃の話だ。 その日は、翌朝からバイトがあり、早めに寝ようとしていた。 布団に入った直後、友人からドライブのお誘いが来た。 「どこ行くの?」 「ただのドライブだよ!笑」 行き先を濁すのが少し気になったが、暇だし、まあいいか──そんな軽い気持ちでついて行った。 その日のメンバーは男4人、女は私を含めて2人。 そして、着いた場所を見た瞬間、胸の奥がざわついた。 そこは地元でもそこまで有名ではないが、知る人ぞ知る“心霊スポットのトンネル”だった。 トンネルは両脇を木々に覆われ、闇を抱え込んだように口を開けている。 だが、入口の前だけは不自然なほど整備され、車が1台止められるスペースがぽっかりと空いていた。 私と女友達は、姿が見えなくても“嫌な場所”を感じ取ってしまうところがあり、即座に拒否した。 「無理。絶対に入らない。」 男のうち2人が面白がって入り、残った4人で車のそばに待機することになった。 トンネルには柵があり、彼らはそれをよじ登って中へ入っていった。 2人が入って数分もしないうちに 私と友達は、強烈な“視線”を感じ始めた。 どこからともなく、いや、まるで 木の上にいる何十人もの目が一斉にこちらを見下ろしている ような……そんな錯覚じみた気配。 「トンネルより、この周りの方がヤバくない?」 「ほんとそれ……笑」 冗談めかして笑い合いながら、気持ちを誤魔化した。 だが、15分経っても2人は戻らない。 痺れを切らした男が電話をかけ始めたが、何度鳴らしても出ない。 2人それぞれに何回かけても、まったく繋がらない。 4回目、ようやく一人が出た。 だが── 「もしもし?おい、聞こえてる?」 返事がない。 ただ、呼吸しているかもわからない、無音だけが続く。 「ふざけてんの?笑」 どれだけ呼びかけても沈黙のまま。 気味の悪さに電話を切り、ただ帰りを待つしかなかった。 それから5分ほどして、ようやく2人は戻ってきた。 「特に何もなかったわ。でもさ、横に置いてたガラケーが急に鳴ってビビった!」 そう話しながら車に歩き出したその時、 私の腕から“何か”が落ちた。 ライトで照らすと──切れて散らばった数珠の玉だった。 暗くて全部は拾えなかったが、見えるものだけ集めてポケットに押し込み、車に乗った。 その後は他愛もない話をして、解散した。 帰宅して明日のために着替え、寝ようとした時ふと足元に目がいった。 ──ふくらはぎが、血まみれだった。 「え……え、なに……?」 どこかに引っかけた覚えもない。 パニックになりつつも、心霊スポット帰りということもあり、一応写真を撮ってメンバーにLINEを送った。 しかし誰からも返事はこない。 不安を抱えたまま血を洗い落とし、その日は眠りについた。 私が目を覚ますより早く、女友達から電話が鳴った。 開口一番、彼女は震えた声で言った。 「ねぇ、あの写真……なに? よく見たらさ、あの足の血って“誰かが血のついた手で触った”みたいじゃない? それに……私の腕にも、引っかき傷みたいなミミズ腫れの跡が三本ついてるの」 早口でまくし立てると、彼女は仕事があるからと言って電話を切ってしまった。 私はLINEを確認したが、あの場所に行った男たちは「特に何もなかったけど、あの写真はやばいよ」とだけ言っていた。 その文面が逆に、妙に遠く感じられた。 洗濯をしようと昨日のロングスカートを見ると、裾まで血が滲んでいた。 乾きかけた赤黒いシミが、不吉さをより濃くしていた。 これはさすがにまずい── そう思い、母にスカートと写真を見せて相談した。 普段、幽霊を全く信じない母ですら表情を曇らせた。 「バイト終わったら、お焚き上げしてもらいに檀家のお寺へ行こう」 そう言われ、私はバイトへ向かった。 バイト先には“視える”子がいる。 店に入った瞬間、彼女がこちらを振り返り、顔色を変えた。 「……ねぇ、どこ行ったの? それ、本当にまずいやつだよ。早くお祓い行かないと、死ぬよ?」 私は何も話していないのに。 ただの雑談すらしていないのに。 背中に冷たい汗が流れ、「どこにも行ってないよ、大袈裟だって」と誤魔化したが、彼女の目は笑っていなかった。 私がバイトを上がる頃、彼女は一枚の紙を押しつけてきた。 「ここに行って。絶対ね」 その言い方は、命令に近かった。 家に帰り、母とともに檀家へ向かい、お焚き上げを頼んだ。 しかしお祓いはしていないと言われ、気休めのような不安だけが残った。 帰る途中、女友達から再び電話が来た。 「三本の引っかき傷、消えた。でも……腕を誰かに思い切り掴まれてるみたいに痛い。 ねぇ……お祓い、一緒に行って」 私も行くつもりだったので、すぐに「うん」と答えた。 その夜、紙に書かれていた番号へ連絡すると「明日の10時に来なさい」と言われた。 翌日、母に車を出してもらい、私と女友達はその寺へ向かった。 寺に入ると、僧侶はこちらを一瞥し、わずかに顔を歪めた。 まず友人に向かって言う。 「君は子供と女の人が一人ずつついているね。すぐ払えるから大丈夫だよ」 そして私を見ると、表情が固まった。 「……君は足に八人いる。 這いつくばってしがみついているよ。 君は少し優しいところが多いから、憑かれやすいんだ。 その数を一気に払うのは無理だね。 一週間後に来なさい。 それまで家の仏壇に向かって祈るんだ。 “遊び半分で行ってごめんなさい。もうしません” これを十回唱える。 塩水を一杯毎朝飲むのと、この御札を持って歩きなさい。」 さらに僧侶は続けた。 「二人とも第六感が少し強い。 友達は“直感”。 君は……“予知”に近いかな。夢やデジャブの形で出るタイプだ。 君は優しい分、憑かれやすい。 守護霊は弱くないが、君の中途半端な優しさが隙になるんだ。」 その言葉を聞いた瞬間、私は時々見る予知夢のこと、亡くなった人が夢で何かを伝えてくることを思い出していた。 その日は友人だけがお祓いを受け、私は帰宅することになった。 家に戻る頃、恐怖はすでに生活に食い込んでいた。 風呂やトイレに入るのすら怖くなり、弟に付き添ってもらった。 だがその夜から、私の様子がおかしくなった。 「夜中、大声出しながら家の中歩き回るの、やめてよ……」 母も弟も、そう言って私を見た。 私は何も覚えていなかった。 弟の話では、声をかけると私がゆっくり振り返り、無表情で弟を見つめ、そのまま泣きながら徘徊を続けるのだという。 あまりにも信じられず、動画を撮ってもらった。 そこには、知らない誰かのように号泣しながら歩き回る“私”が映っていた。 弟たちも、さすがに怯えていた。 お祓いに行くまで毎日続いていた。 一週間後、再び寺を訪れ、夜の徘徊の件を伝えた。 僧侶は頷き、 「数は減っているね。四人くらいなら払える。 夜の徘徊は、中に入り込んでいた者がいたんだ。 御札が炙り出したからそれが表に出てきた。 大丈夫、見えている」 そう言って私のお祓いが始まった。 終わって帰宅したその夜から、徘徊はぱたりと止んだらしい。 以来、特に何も起きていない。 男友達はその後も何もなく普通にすごしていた。 あの日から私は、幽霊を確実に信じるようになった。 そして二度と、“ああいう場所”には近づかないと心に決めている。

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