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お題 長編
放送室から呼ばないで
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放送室から呼ばないで

13時間前
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私が通っていた中学校には、妙な決まりがあった。

昼休みの終わりに流れる予鈴のあと、放送室から名前を呼ばれても、すぐには行ってはいけない。

今思えば、そんな決まりが校則に書かれていたわけではない。先生が朝礼で注意したこともない。ただ、上級生から下級生へ、部活の先輩から後輩へ、まるで忘れ物の場所を教えるみたいに、当たり前のこととして伝わっていた。

「予鈴のあとに呼ばれたら、まず職員室に行け」

「放送室に直接行くな」

「呼ばれた理由を誰かに聞け」

「誰も知らなかったら、今日はもう放送室には近づくな」

最初は、ただのいたずら防止だと思っていた。

うちの学校の放送室は、職員室の横ではなく、旧校舎の三階にあった。旧校舎といっても、理科室や美術室、視聴覚室がまだ使われているので完全に廃れているわけではない。ただ、昼でも薄暗く、廊下の窓はすりガラスで、外の光が白くぼやけて入ってくる。

その一番奥に、放送室があった。

分厚い防音扉。小さなガラス窓。扉の上には赤いランプがあり、放送中だけ点灯する。中には古いミキサー、マイク、カセットデッキ、CDプレイヤーが並んでいて、私たち放送委員は、昼の校内放送や掃除時間の音楽をそこで流していた。

私がその噂を本気で怖いと思ったのは、中学二年の秋だった。

その日、私は放送委員の当番だった。

昼休みの校内放送で、給食委員からのお知らせと、図書室の新刊案内を読み上げるだけの簡単な仕事だった。相方の佐伯さんは風邪で休みだったので、私一人で放送室に入った。

放送は問題なく終わった。

マイクのスイッチを切り、赤いランプが消えたのを確認して、私は原稿をまとめた。外では、昼休みの終わりを知らせる予鈴が鳴り始めていた。

キーンコーンカーンコーン。

古いスピーカーを通した音は、少し割れていて、校舎の壁にぶつかりながら遠ざかっていく。

私は放送室の鍵を閉め、廊下に出た。

その瞬間だった。

スピーカーから、声がした。

「二年三組、山瀬由香さん」

私の名前だった。

私は足を止めた。

最初、自分が聞き間違えたのだと思った。けれど、廊下の先で歩いていた一年生たちも振り返っていた。階段を上がってきた男子も、顔を上げてスピーカーを見ていた。

間違いなく、校内放送だった。

少し間を置いて、また声が流れた。

「二年三組、山瀬由香さん。放送室まで来てください」

声は、女の人の声だった。

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はじめまして、よろしくお願いします。

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