
冬の寒い夜、私は妹と一緒に山奥の神社へ行くことになった。神社は静まり返り、月明かりだけが道を照らしていた。妹はいつもと違って、どこか興奮している様子で、時折後ろを振り返っては何かを探しているようだった。
「お姉ちゃん、あっちに行こうよ!」
妹が指さした先には、神社の裏手にある小さな林があった。私は少し躊躇ったが、妹の目の輝きに引き寄せられるように後に続いた。林の中に入ると、なにか不穏な気配を感じた。妹が何か見つけたのだろうか?
「これ、見て!」
妹が指差した先には、木の幹に何かが描かれていた。そこには、長い手足を持つ奇妙な生物が描かれ、その目は無数にあった。まさに異形の存在だった。私はつい声を上げた。「これ、何?」
「お姉ちゃん、これが見える?」妹は目を輝かせて言った。
その瞬間、ゾッとする感覚が背筋を走った。妹の声が急に変わり、彼女ではない何かが言っているように思えた。「お姉ちゃん、ずっと待ってたの。」
私は恐怖で動けなくなり、その場から逃げ出した。振り返ると、妹の姿がどんどんぼやけていく。彼女はまるで別の存在に取り込まれているようだった。
「お姉ちゃん、こっちに来て!」
その声は、妹の声とはまったく違う響きで、私の耳に響いた。私は必死になって山を下り、家にたどり着いた。家に着くと、妹が普通に座っているのを見つけた。
「おかえり、お姉ちゃん。」
私は恐る恐る聞いた。「さっき、何があったの?」
妹は首を傾げて、こう答えた。「何もないよ。ずっとここにいたもん。」
その夜、私は夢の中で、妹が見たものが現実に引きずり込まれる様子を見た。そして目が覚めると、今でもその絵が心の中に残っている。あの影は、どこに行ったのだろうか。もし、あの時気づかなかったら、どんなことが起きたのだろうか。
その疑問を抱えたまま、私は今でも神社の前を通る度に、妹の不気味な瞳を思い出す。
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