
中学3年生のとき、校内の合唱コンクールで学年優勝した俺たちは市の大会に出場することになった。
市大会に出られるのは嬉しいが、昼休みの練習が毎日あるし直前には放課後遅く練習があった。
そして市の合唱コンクール前日、夕方6時頃体育館に集まった俺たちは最後のリハーサルを行い、音楽の先生が合唱の様子をビデオカメラで録画した。
リハーサルの様子が良かったこともあって録画した映像はその場で確認することはなかった。
その後、市の合唱コンクールも無事に終わった。
その次の音楽の授業で合唱コンクールの様子を見せてくれたが、そのときに見たのはリハーサルではなく本番での映像だった。
まあ、リハーサルより本番の方が意味あるしなぁと思って特に気にしなかったが。
音楽の先生と関わりの深い子たちは、リハーサルの様子も見たいと先生のところに行ったという。
だが、先生はなかなかリハーサルの映像を見せてくれなかったらしい。
そしてある日、扉もカーテンも閉めた音楽室で、数名が誰にも言わないという約束で、音楽の先生からそのリハーサルの映像を見せてもらったらしい。
俺たちの歌った合唱曲は「平和の祈りをこめる歌で、戦争の悲惨さを暗喩」した歌なんだが、歌の途中に「熱いよぉ!」と誰かが叫ぶような声が入っていたそうだ。勿論、その歌のどのパートにも「熱いよ」と聞こえるような部分はないはずだった。リハーサルなので誰か間違えたとも考えられない。さらに体育館が立っているあたりは、戦時中の空襲で何人も死んだ場所だとも言われていた。
・・
一方で、その話はクラスでいつの間にか流れていた噂であって、具体的に誰が音楽の先生からリハーサルの映像を見せてもらったのかが誰も分からなかった。そのことも不思議な話だった。そもそも本番が無事終わってその映像も見られたなら、リハーサルの映像を見る必要もないので、そういえばリハーサルの映像はどうなったんだろうという素朴な疑問から生まれた噂なのかもしれないが。
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