
長編
銅の出る村
匿名 10時間前
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殺人を警察が許そうとも天は許さぬ。
明治32年、町に山津波が起こった。
逃げ遅れた町民は土砂に飲まれた。
快楽坑も壊滅的なダメージを受けた。
会社は目出多の復旧を放棄した・・・銅はもっと下の町からも出るようになったからじゃ。
そして町は滅びた・・・」
僕と克は寺の外に出た。
二人はしばらく無言で歩いた。
僕は適当な石に腰掛け口を開いた。
「町民みんなが狂ってたわけじゃなかったんじゃなぁ」
『・・・・・』
「町にバチが当たったって事か・・・」
『ふん!』
隣に立ったままの克はまた僕の頭をポカリとやり言った。
『また非科学的な事言うてるな!バチなんてないわい!時代や。 時代が目出多を歓迎し、また見放しただけじゃ』
「ふん。お前こそまた坊主らしからぬ事を」
『あ、あるわ。バチ。お前に絶対バチ当たらあ!』
「何で俺にバチが当たるんや?」
『お前どこに座ってると思っとんや?』
うわっ!お地蔵さんだった!慌てて立ち上がった。
克が噴き出した。僕も噴き出した。
「千秋ちゃん大丈夫よな」
『おう』
「科学的な坊主に有難いお経もいただいてるし」
『おう』
(二ヵ月後・十月のとある日曜日)
「迎えに来たぞ」
僕と克は時々一緒にジョギングをしている。
克の寺から近所の公園の池を回り小山に登るコース。
雲ひとつ無い秋晴れ。
真っ青な空の下、風だけが涼しい。
「あれ?」
沢村と千秋が自動販売機でジュースを買っていた。
二人の姿を見るのはあの夜以来だった。
『あれ?どしたん?ジョギング?若いな!』
沢村が僕らを見つけいつもの軽口を叩く。
「お前らなんで一緒に・・・?ほお」
二人は繋いでた手を慌てて離した。
「千秋ちゃん元気なん?」克が声をかける。
『うん。元気!元気!またみんなでどっか遊びに行こうやぁ』
「おお!行こうやぁ!」
『俺も元気じゃ』と沢村。
「お前には聞いとらん」僕と克は同時に言った。
千秋はケラケラと笑った。
彼女はすっかり元気になっている。
あの夜の話はもうしなかった。
「幸せになぁ!おい!克ぅ!行こうや」
僕は大きく背伸びして息を吸い込んで言った。
そんな僕を無視してまだ克は二人に話しかけていた。
「二人に言っておく。
『恋愛は結婚より面白い。それは小説が歴史よりも面白いのと同じだ』
カーライルの名言だ・・・ええか?事は焦るなよ」
また坊主らしからぬ事を。
「克ぅ!先に行くぞ!!」僕は二人に背を向け先に駆け出した。
『待て
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chat_bubble コメント(4件)
- 面白さもあり、何気に怖い(・・;)匿名
- 最後の意味がよく分からなかったみるき
- マジですかぁ…((((;゚Д゚)))))))ヒメ
- 終わり方が・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル峰