
長編
銅の出る村
匿名 13時間前
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「千秋の目」・・・
泣きたくなってきた。
克は目を閉じていた。
そして突然また僕の頭をポカリとやった。
「お前が震えてどうすんだ?お前は霊的な物を否定する役目だろうが」
そうだった!!
確かに怖い!怖いが未だ僕は幽霊を見たわけじゃないのだ。
物を見ただけ。話を聞いただけ。
大きく息を吸い込み震える声で爺ちゃんに聞いた。
『しょ・・・しょうゆう話って資料とか残ってるんですか・・・?』
「醤油が何じゃ!?」
『ダメだ。こりゃ』克が頭をポリポリと掻いた。
『すいません。さっきの話が事実という資料は残ってるんですか?』
気を取り直して聞いてみた。
「うむ・・・さっきの話に関するれっきとした資料という物はない」
『警察は?そんなに栄えた町なら警察だって当然あったでしょ?
いくら町独自の法律があるといってもこんなのは殺人だ!殺人が許されるわけない!』
僕は正論を問いかけた。
「警察もその町に住んでりゃ町民じゃよ」
一言で否定された。
「しかし資料がない以上、さっきの話は民話に背ひれ尾ひれがついただけかもしれん」
『じゃあ、千秋ちゃんは暗闇と恐怖に酔って失神しただけかもしれない?』
「そうかもしれん・・・しかしあの町に特殊な風習があったのは間違いない!
・・・これは資料とは言えぬかもしれんが・・・」
そう言いながら爺ちゃんは何やら古い本を取り出した。
表紙はぼろぼろ。
もろ手書き。
一枚一枚を紐で止めてるだけ。
本と言える代物じゃない。
「ほれ」それをパラパラと捲り私の方に向けた。
毛筆で描かれた汚い人形の絵と詩。
【テンキリのかぞえうた】
『ひとつ芽を出す私の子 なんぼ抱いても泣きもせぬ
深きじごくか高き天 おまえは天で待っちおれ
みにくい赤子は男の子 青いべべを縫うたろかあ
よしよしお前は男の子 母べのうたは聞こえるかあ
ごそりとお前はテンキリに
ごそりとお前は捨てられほおほお
無理じゃ笑へと婆は云ふ お前も笑へと母べ云ふ
なんぼ抱いても泣きもせぬ なんぼ抱いても乳吸わぬ
母べのうたは聞こえるか 母べのうたは聞こえるかあ
小山の石ぞ聞こえるか 母べのうたは聞こえるかあ
とおにお前はテンキリに
とおにお前は死んじゃらほおほお』
背筋が凍りついた!
克はボロボロと涙をこぼしている。
無言の僕らを尻目に爺ちゃんの話は続く。
「銅と邪教によって栄えた目出多町だったが、尚毅君の言うとおりじゃ。
まかりとおる
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chat_bubble コメント(4件)
- 面白さもあり、何気に怖い(・・;)匿名
- 最後の意味がよく分からなかったみるき
- マジですかぁ…((((;゚Д゚)))))))ヒメ
- 終わり方が・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル峰