
長編
七面様
匿名 3日前
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た話であるが、七山には鎌倉時代 戦の布陣の為に開かれた街道がある。
街道は整備され、今では地元民の憩いの散歩道となっているが、その道の端にある古井戸の話だ。
古井戸は既に埋められ石組みだけとなっているが、その井戸には夜になると時折、女の幽霊が立つという。
暗い夜道を、しかも整備されているとは言え山の中を歩くとなれば、そんな女が立っていればさぞや怖いだろうと思ったが、私はそこで先程 自分が話した「七つ首峠」の話を思い出した。
古井戸に立つ女の幽霊、奇妙な符合であると思ったが、そう感じたのは私だけではなかったようで、そこにいた全員が不思議なものを感じた様子だった。
と、そこで今まで話を聞いていただけのOが口を開いた。
「俺の家がここに古くからあるのは前も話したけど、ウチで祀ってる神様の話はした事なかったよね」
Oの話によると、Oの家の後ろにある山の中にはお社が建てられており、そこに祀られているのが「七面様」と呼ばれる神様であるらしい。
お社は10年以上前に改修されたがOの家の人間以外は殆ど出入りする事はなく、地元の住民でもその存在を知らない人の方が多いほど寂れているらしい。
七面様の由緒について、Oは知らないらしいのだがOの家が初代から数えて今に至るまで連綿とその社を守護し続けているのは確からしい。
Oも幼い頃から父親に、お前が十七代目としてこの山とお社を守っていくのだと言い聞かされたそうだ。
そしてOの父親はその父、Oの祖父から同じような事を言い聞かされていたらしい。
そんな理由からか、Oは怪談の類が苦手だが妙に信仰に厚い所がある。
O曰くこの七面様というのがどんな神様であるのかは分からないが、どうやら白蛇の姿をしているという話を幼い頃に祖父から聞いていたそうだ。
その為、Oの家では蛇を、特に白い蛇は何があっても害してはならないときつく言い伝えられているらしい。
またしても奇妙な符合であった。
先ほど田口が話した、七山で見た大きな白蛇の話と部分的に合致する。
私達は何やらこの怪談四方山話が奇妙な雰囲気を帯びてきている事を感じつつ、しかしそれぞれが持ち寄る話が似通っている事の不思議さを少しだけ楽しんでいた。
そんな折、私と田口、山井とOの話を聞いていた最後の後輩、佐渡が締めくくりと言わんばかりに話し始めた。
佐渡は七山に関する話と、私の七つ首峠に関する話を聞いている最中、なんとも
後日談:
- 時々怪談を集めていると部分的に似ているような話を聞く事があります。 そう言った話は探って行くとルーツが同じであったり、謂れが同じである事が多いのですが、今回はそういったちょっと奇妙な怪談です。
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- 柳田邦男的な伝説ですな菜々氏