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短編

なにかいる。

匿名 2016年5月29日
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中学のときのこと。 父の仕事の都合でY市にある借家へ、しばらくのあいだ住むことになりました。 古く見た目は良くないものの、縁側があったり竹林や緑に囲まれ自然が溢れ、私自身は気にいっていたのですが、あたしの姉は霊感がかなり強いため、この家を嫌っているようでした。 引っ越し当日、中に入るとやたらとお札のようなものがあちらこちらに貼ってありました。 台所、浴室、階段の裏…。 姉は「やっぱりな」と呟きました。 その日から、階段の軋む音。 ドタドタと、階段を上る音。人影。 数えだしたらきりがないくらいの、奇妙なことがありました。 霊感など全くないあたしが、やはりなにかいるんだろうとおもってしまうほどに。 近所で仲良くなった友人の母が、次の引っ越し先が決まり発つ前に 「実はあそこで、若夫婦が首吊りをしてなくなったんだよ。やっぱり気味が悪いから、言えなかったんだよと」 と、教えてくれた時には寒気がとまりませんでした。 なにより怖いのは、今もその家は残っているということ。

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